経営層がまず理解すべき「ブロックチェーンの三大評価要素」「1990年代のインターネット変革と同じ」と捉えよとIBM

企業がブロックチェーン技術を自社のビジネスで利用していくために、どんな要素をどのように評価していくべきか。「ブロックチェーン採用の三大要素」をIBMが説明した。

» 2017年04月06日 11時00分 公開
[@IT]

 米IBMは2017年4月4日(米国時間)、自社のビジネスへブロックチェーン技術を取り入れる場合に考慮すべき、3つの主要な要素を提言した。

 企業へ急速に普及しつつあるブロックチェーン技術についてIBMは、「1990年代後半にインターネットが変革をもたらしたときと同じように、ビジネスを革命的に変える可能性がある」と見ている。

 例えばサプライチェーンや物流業界だけでも、ブロックチェーン技術によって年間数十億ドル(数千億円)規模のコスト削減につながり、また、遅延や物品損傷の大幅な減少に貢献する可能性があるという。さらにIBMは、ブロックチェーン技術のインパクトを示す数字として、「国際サプライチェーンにおける障害の軽減を通じて、世界GDPをほぼ5%、総貿易量を15%押し上げる可能性がある」という世界経済フォーラムの予測を引用している。

 IBMは、こうしたブロックチェーン技術を導入するサプライチェーンや他の主要業種(金融、小売り、エネルギーなど)の企業に対し、この技術から最大限の価値を引き出すためには、以下の3つのポイントを念頭に置くことを勧めている。

1:ブロックチェーンは、「商業、取引、ビジネスプロセスを変革する」可能性がある

 ブロックチェーンは、「ビジネスネットワーク」と「台帳」の考え方が肝となる。これらを組み合わせて、不正に強く、効率化された方法を実現する。

 ブロックチェーンでは、「ビジネスネットワークを利用する全メンバーがアクセスを共有する台帳を使って、資産を取引」する。台帳は、ネットワーク全体にわたって全メンバー間で同期される。有形または無形資産の取引は、全メンバーが確認してから、ブロックチェーンで承認、保存される仕組みだ。こうして認識が共有されることにより、取引当事者がお互いを知らない場合も含めて、取引の正当性と透明性が確保される、ということになる。

2:ブロックチェーンの拡大過程では、「エコシステム」が重要

 ビジネスネットワークであるブロックチェーンは、さまざまなタイプの参加者を含み得る。

 ブロックチェーンネットワークの参加者数、交換される資産の価値、参加者にさまざまな資格を与える必要性に応じて、「パーミッション型」(許可制:参加者の身元が判明しており、信頼できる)のブロックチェーンネットワークと、「パーミッションレス」(自由参加制:不特定、悪意のある参加者を含む可能性がある)がある。

 こうしたビジネスネットワークが拡大していくことで、ブロックチェーンの真価が発揮される。強力なエコシステムがあれば、ビジネスネットワークも、ユーザーが「新しいビジネスモデルを構築する」「取引プロセスを再発明する」のに必要な規模に到達しやすい。

3:ブロックチェーンは「ビジネス全体の可視性と信頼性を大きく向上」させる

 ブロックチェーンは全ての参加者に可視性を提供することで、取引の完了にかかる時間を数日や数週間から、数秒にまで短縮できる。また、この技術は、一般的に取引の確認に必要な仲介役のサードパーティーが不要なため、過剰コストを削減できる効果もある。

 そもそもブロックチェーンは信頼の概念に基づいていることから、決済ネットワークで不正が行われるリスクを低減し、詐欺やサイバー犯罪の抑止に役立つ。

 ブロックチェーンの最大のメリットは、「スピード」「費用効率」「透明性」だ。例えばIBMは米ウォルマートと中国の清華大学と共同で、ブロックチェーンを「食品の安全対策」に活用する可能性を探っている。サプライチェーン参加者が同じ記録を見ることができるようにすることで、ブロックチェーンは汚染の発生余地を狭めることができる。

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