「更新の一時停止」機能は、更新プログラム(品質更新と機能更新)のチェックとインストールを最大35日間一時停止できます。しかし、今回試したPCでは「最大7日間」の場合と、「最大35日間」の場合がありました。この期限の違いは、ProやEnterpriseのエディションの違いからくるものではありませんし、なぜ異なる2つの期限があるのかについての公式な情報を筆者はこれまでのところ入手できていません。
これはあくまでも筆者の想像ですが、そのPCのこれまでの更新の状況をWindows 10が診断して、期限を短縮したり、延長したりしているのではないかと思っています。期限の異なる2台のPCで、レジストリの値を比較してみたところ、「最大7日間」となっていたPCには、「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\WindowsUpdate\UX\Settings」キーに「FlightSettingsMaxPauseDay」値が存在し、データに「7」が設定されていました(画面8)。
一方、「最大35日間」のPCには、「FlightSettingsMaxPauseDay」値自体が存在しません(画面9)。試しに、「最大7日間」のPCの「FlightSettingsMaxPauseDay」値を削除してみたところ、「最大35日間」にすることができました。おそらく、「FlightSettingsMaxPauseDay」値は、Windows 10により自動管理されているものであり、むやみに削除するべきではないのかもしれません。
しかし、もし「最大7日間」になっていて、これから7日以上にわたってWindows Updateには都合が悪いと分かっている場合は、「FlightSettingsMaxPauseDay」値の削除の方法を知っておいても損はないでしょう。例えば、1週間以上、PCをフル稼働させないと完了しない、プロセッシングタスクを実行しなければならない研究者や数学者の方には有効かもしれません。
「更新の一時停止」機能は、Homeエディションでは利用できませんが、「追加の通知」という新機能がエディションに関係なく利用可能になりました(画面10)。
以前は再起動の通知が1回限りであったため、通知を見逃してしまう可能性がありました。「追加の通知」機能をオン(既定はオフ)にすると、再起動の通知回数を増やすことができます。実際にどの程度、通知が増えるのか、確認できていませんが、Windows Updateによる突然の再起動を回避できるチャンスが増えるかもしれません。
ただし、「追加の通知」機能をオンにしたとしても、通知の回数が増えるだけのようで、再起動が始まる直前に必ず通知される動作になるわけではないようです。ユーザーがその通知を確認するまで待っていてくれるというものではありません。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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