誠意を見せつつ相手に納得してもらう「謝罪報告書」の書き方謝るだけじゃダメ!(3/3 ページ)

» 2017年05月31日 05時00分 公開
[吉澤準特@IT]
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「原因」「再発防止策」は「ルートコーズ分析」で整理する

 ミスには、引き起こした「直接原因」とは別に、その原因を招くに至った「真因」というものが存在します。

 先述のミス「ケーキの発注数を1桁間違えた」の直接原因は、「桁入力を間違えた」です。しかしその背景には、「発注数をチェックする人がいなかった」という事情があります。

 その場合、同じミスを繰り返さないために、「今後は必ず2人以上で発注数をチェックするという仕組みを設ける」必要があるでしょう。「誤発注した人は日ごろから業務ミスが多かった」のならば、「発注作業は別の人に担当させる」と良いかもしれません。

 目に見える原因だけでは、適切な「再発防止策」を示すことは難しいでしょう。ミス発生を防ぐための「原因分析」は少なくとも二段構えで整理すべきです。

 このアプローチは「ルートコーズ分析(真因分析)」と呼ばれる、「根本原因」を突き止めるオーソドックスな手段です。

 「図2」のように、表面上の「原因」、その裏に潜む「真因」、真因に対する「再発防止策」を整理すると、「二度と同じ過ちを繰り返さない」という「強い反省」を相手に示せます。

図2 「原因」「真因」「再発防止」を整理した例

「謝る」のは文書の冒頭

 謝罪報告書のコアコンテンツは「事象、経緯」と「原因、再発防止策」です。しかし、これだけではぶっきらぼうな印象を謝罪相手に与えます。

 最初に述べた「真摯な態度」は、謝罪の成功率を高める最大のポイントです。謝罪報告書の「冒頭」に、真摯な態度を「文章」で示しましょう。

図3 冒頭に謝意をつづった例(分かりやすく赤でマーカーしていますが、実際はマーカーは入れません)

 今までのポイントをまとめた謝罪文全文のサンプルを載せます。下の画像をクリックするとダウンロードできます。

 この文書に含まれるスタイルは、前回までに取り上げた設定方法に加えて、新たに「表スタイル」を用いています。

 標準的な表スタイルは見栄えが悪いため、外枠線を無くし、表内の仕切り線を灰色かつ点線にし、表の中身に注意が集まるようにアレンジしました。また、同じ内容が当てはまるセルを結合させて、セルの範囲から意味が読み取れるようにしました。「図4」は設定方法です。

図4 「表スタイル」の設定方法

Wordから逃げるのではなく、Wordの良さを見つけよう

 連載第1回から4回まで、エンジニアが苦手とするWordを使って文章を作成する場面を取り上げました。これまでWordと悪戦苦闘してきた方も、存在自体から目を背けてきた方も、Wordの活用余地に気付いてもらえたのではないかと思います。

 システム開発に携わる方は要件定義書と提案依頼書の作り方を、それ以外の人も議事録と謝罪報告書の作り方を参考に、是非ビジネス文書作成にチャレンジしてください。

 連載「エンジニアのためのビジネス文書作成術」、今後はPowerPointやExcelでの文書作成法もお伝えします。お楽しみに!

書籍

外資系コンサルのビジネス文書作成術

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吉澤準特著 東洋経済新報社 1944円(税込み)

大手コンサルティングファームでドキュメンテーションスキルを指導する著者が、ロジックの組み立てと効果的な表現をWord上で思い通りに実現するテクニックを解説する。

※書籍では本記事の内容を図解しています。是非ご覧ください。

筆者

吉澤準特

吉澤準特

ITコンサルタント

外資系コンサルティングファーム勤務。ビジネスからシステムまで幅広くコンサルティングを行う。専門分野はシステム運用改善をはじめとするインフラ領域だが、クライアントとの折衝経験も多く、ファシリテーションやコーチングにも造詣が深い。

著書『資料作成の基本』『フレームワーク使いこなしブック』(以上、日本能率協会マネジメントセンター)『外資系コンサルの仕事を片づける技術』(ダイヤモンド社)など。


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