Deferred Channelは、企業向けのOffice 365サブスクリプションのプランで提供されるOffice 365 ProPlusの既定の更新ブランチです。Office 365 Businessの既定はCurrent Channelです。それ以外のOffice 2016製品も、Current Channelであると考えてください。
Office 365のテナントの管理者は、管理者向けのポータル「Admin Center」というを使用して、ユーザーが「Office 365ポータル」からOffice 2016を取得して、インストールする際の、更新ブランチを構成することができます。
管理者は、「Admin Center」の「設定」→「サービスとアドイン」→「Officeソフトウェアのダウンロード設定」で、「毎月(期間内チャネル)」または「4カ月ごと(延期チャネル)」(既定)のいずれかを選択して、組織内の更新チャネルをCurrent ChannelまたはDeferred Channelに設定します(画面7)。
以前のポータルである「Office 365管理センター」を使用する場合は、「サービス設定」→「更新」の「新機能と更新プログラム」で設定するのですが、Current Channelを構成することはできません。既定の「標準」はDeferred Channelのことであり、もう1つの「先行リリース」はFirst Release for Deferred Channelを組織全体またはユーザーごとに構成するオプションになります(画面8)。名称に統一感がないのは、Office 2016の更新チャネルの名称が変更されたことや、日本語訳の影響もあると思います。
「Office 2016 Deployment Tool」を使用すると、企業内の配布ポイントにOffice 2016のインストールソースを配置して、クライアントPCにOffice 2016を配布したり、更新バージョンを配布したりできます。
Office 2016 Deployment Toolの構成ファイル(Configuration.xml)の中で、Current Channel、Deferred Channel、First Release for Deferred Channelのいずれかの更新チャネルを指定することが可能です。Office 365 ProPlus以外のOffice 2016(永続ライセンスを含む)もこの方法で更新チャネルの構成が可能です。
どの更新チャネルでインストールされた場合でも、インストール後にOffice 2016管理用テンプレートを使用して、「グループポリシー」または「ローカルコンピューターポリシー」で更新チャネルを変更することができます。Office 365 ProPlus以外のOffice 2016(永続ライセンスを含む)もこの方法で更新チャネルの切り替えが可能です。
Office 365 ProPlusで、既定のDeferred ChannelからCurrent Channelに切り替える別の方法としては、以下のサポート技術情報に説明されている、「Easy Fit」の実行またはレジストリの編集で行う方法があります。
Office 2016のDeferred ChannelおよびFirst Release for Deferred Channelはこれまで、おおむね4カ月ごとのサイクルで新バージョンが提供されてきました。これが、2017年9月から、半年ごとのサイクルに変更されます。
先日、これまで年に複数回(実績は年に2回)とされていたWindows 10の機能更新のリリースを、次のWindows 10 Fall Creators Updateから年に2回のサイクルに固定化し、Current Branch向けには3月と9月にリリースされることが発表されました。この変更には、Windows 10とOffice 365 ProPlusの更新サイクルをそろえることも含まれます。
2017年9月からは、Office 2016のCurrent Channel、Deferred Channel、First Release for Deferred Channelの名称が、それぞれ「Monthly Channel」「Semi-annual Channel(Broad)」「Semi-annual Channel(Pilot)」に変更されることも発表されました。
3月と9月にリリースされるのはSemi-annual Channel(Pilot)、現在のFirst Release for Deferred Channel)向けです。Semi-annual Channel(Broad)、現在のDeferred Channel向けには、その4カ月後の同年7月と翌年1月にリリースされます。Office 2016に関しては2度目の更新チャネルの名称変更に加え、見慣れない英単語に戸惑う人も多いでしょう。筆者の解釈が正しいかどうか自身はありませんが、以下の図1のようにWindows 10とOffice 2016の更新チャネルがそろえられるようです。
マイクロソフトはこの変更の理由をユーザーからのフィードバックに答え、更新プロセスの簡素化を図るためと説明していますが、どうなのでしょうか。少なくとも、英語が苦手な人には、更新チャネルの名称だけ見ても頭が痛くなりそうです。
そして、更新チャネル名の日本語は、いったいどうなるのでしょうか。これまでの更新チャネルの日本語の名称もどうかしていましたが、新しい名称の日本語訳はどうなるのでしょう。ちょっと怖くもあり、楽しみでもあります。「毎月」「半年ごと(パイロット)」「半年ごと(組織全体)」のようになるのでしょうか。
また、これまでWindows 10の既定はCurrent Branchで、HomeとLTSB(Long Term Servicing Branch)を除く、Pro/Enterprise/EducationはCurrent Branch for Businessに変更可能という考えも改めた方がよいかもしれません。
まず、Windows 10 HomeとWindows 10 Pro/Enterprise/Educationは分けて考えるべきです。Windows 10 Anniversary Update(バージョン1611)以降、Windows Update for Businessを使用して、Current BranchとCurrent Branch for Businessを細かく制御(更新の延期や一時停止)できるようになっています。
Windows 10 Homeは常に最新ビルドを実行するCurrent Branchですが、Windows 10バージョン1611以降はWindows Update for Businessにより、Current Branchで複数のビルドをサポートすることができるのです。
筆者が書いたものを含め、「サービスとしてのWindows(Windows as a Service)」やOffice 2016の更新に関する記事やドキュメントは、書かれた時期を意識してください。その知識、もう古すぎて役に立たないかもしれません。
この記事を2017年後半や2018年以降に読んでいる方へ。この記事はもう古すぎてあなたの役には立たないかもしれません。
2017年7月27日(米国時間)、Windows 10 バージョン1703のCBB向けリリースが発表されました。リリース情報としては、今回のリリースから「Semi-Annual Channel」という表記と概念に変更になっています。
新しい概念ではCBが「Semi-Annual Channel(Targeted)」(以前の発表時には(Pilot)でしたが変更されました)、CBBが「Semi-Annual Channel」(以前の発表時にあった(Broad)という表記は削除されました)。
なお、Windows 10のUIやグループポリシー設定は以前のCB/CBB表記のままです。また、Windows 10 バージョン1703のSemi-Annual Channel向けリリースの発表と同時に、Windows 10 バージョン1511のサポートが「2017年10月10日」に終了することが発表されています。
2017年8月23日にリリースされたWindows 10 Insider Previewのビルド「16273.1000」のポリシー設定において、従来のCB/CBB表記から「半期チャネル(ターゲット)」「半期チャネル」(英語版では「Semi-Annual Channel(Targeted)」「Semi-Annual Channel」)の表記に変更されていることを確認しました。ただし、これはWindows 10 Fall Creators Updateに向けた開発中のプレビュービルドであり、さらに変更される可能性もあります。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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