Office 2016の新機能が見当たらない? ライセンスと更新チャネルの話その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(84)(1/3 ページ)

最新のMicrosoft Officeのデスクトップアプリには、新機能がちょくちょく追加されます。2016年12月に追加された新機能「アイコンの挿入」を使おうとしたら見当たらない……。これに関連するOffice 2016のライセンスと更新チャネルの話で、煙に巻かれないようにご注意を。

» 2017年06月06日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
「Windowsにまつわる都市伝説」のインデックス

Office 2016にもいろいろある

 最新バージョンの「Microsoft Office」(以下、便宜上「Office 2016」と呼びます)には、「クイック実行(Click to Run:C2R)」と「MSI(Windows Installer)」というインストール形式の違いと、「永続ライセンス」であるか、「Office 365サブスクリプションライセンス」であるかの違いがあります。

 MSI形式は「Office Professional Plus 2016」のようなボリュームライセンス製品だけに用意されており、その他のパッケージ製品のOffice 2016、プリインストール製品のOffice 2016、Office 365サブスクリプションに含まれるOffice 2016(Office 365 ProPlusなど)、MSDN(Microsoft Developer Network)サブスクリプションに付属するOffice 2016(Office Professional Plus 2016)は、全てクイック実行形式です。

 永続ライセンスであるか、サブスクリプションライセンスであるかは、以下のサイトで確認できます。法人向けはサブスクリプション製品とボリュームライセンス製品のいずれかです。

 また、Office 365サブスクリプションに含まれるOffice 2016には、「更新チャネル」(以前は「更新ブランチ」と呼ばれていました)というサービスオプションが用意されています(実際には、Office 365サブスクリプション以外でも更新チャネルを変更できます)。

 以上のことを踏まえて、“Office 2016の新機能の謎”の話に入りましょう。なお、Office 2016のライセンスや更新チャネルについては、Windows 10の場合も含め、以下の本連載の記事で説明しています。これらの記事から1年ちょっとしか経っていませんが、この時からいろいろと変更されていることにもご注意ください。

新機能があるOffice 2016、ないOffice 2016の違いは?

 「アイコンの挿入」機能は、2016年12月に、Office 2016の「Current Channel」に対して追加されました(画面1)。

画面1 画面1 2016年12月の更新で追加された新機能「アイコンの挿入」。バージョン1611(ビルド7571.2072)以降に更新されていれば利用できるはず

 具体的には、12月6日にリリースされた「バージョン1611(ビルド7571.2072)」からの新機能になります。Office 2016のCurrent Channelは、日本語では「最新機能提供チャネル」と呼ばれます。

 2016年3月以前は「Current Branch」という名称で、日本語では「現在の分岐」と翻訳されていました。新機能の追加を含む更新のリリース状況については、以下のサイトで確認できます。サイトの名前が「Office 365クライアント更新プログラムの……」であることを、少し気に留めておいてください。

 筆者は、Office 365 ProPlusとMSDN版Office 2016を複数台のPCと仮想マシン環境にインストールしており、Office 365 ProPlusは確認用に複数の更新チャネルを利用しています。Office 365 ProPlusには、Current Channelの他に、「Deferred Channel」(日本語では「段階的提供チャネル」と翻訳されています)と「First Release for Deferred Channel」(日本語では「段階的提供チャネルの初回リリース」と翻訳されています)。

 Deferred ChannelとFirst Release for Deferred Channelは、2016年3月以前は「Current Branch for Business」と「First Release for Current Branch for Business」という名称で、日本語では「ビジネスの現在の分岐」と「ビジネスの現在の分岐の最初のリリース」と翻訳されていました。

 さて、筆者のOffice 2016の環境では「アイコンの挿入」機能が利用可能なものと、機能自体が見当たらず、利用できないものがあります(画面2)。

画面2 画面2 同じバージョン1704(ビルド8067.2115)のOffice 2016なのに、上の画面は「挿入」リボンに「アイコン」があるが、下の画面は存在しない

 いずれも、2017年5月末時点で最新バージョン(ビルド)に更新してあります。「アイコンの挿入」機能のある、なしの違いは何かというと、それはOfficeアプリケーションの「ファイル」→「アカウント(Outlookの場合はOfficeアカウント)」に表示されるOfficeのバージョン情報から判断できます(画面3)。

画面3 画面3 2017年5月末時点で最新に更新されたOffice 2016のバージョン情報。左からOffice 365 ProPlusのCurrent Channel(最新機能提供チャネル)、MSDN版Office Professional Plus 2016のCurrent Channel、Office 365 ProPlusのDeferred Channel。このうち、現時点で「アイコンの挿入」機能が利用できるのは、一番左のOffice 365 ProPlusのCurrent Branchだけ

 筆者のOffice 365 ProPlusとMSDN版Office Professional Plus 2016は、どちらもCurrent Channel(最新機能提供チャネル)で最新バージョン(バージョン1704、ビルド8067.2115)に更新されていますが、「アイコンの挿入」機能を利用できるのはOffice 365 ProPlusの方でした。

 また、Deferred ChannelのOffice 365 ProPlus(バージョン1609、ビルド7369.2130)にも「アイコンの挿入」機能は存在しませんでした。バージョン情報の画面で、Office 365サブスクリプションではない、永続ライセンスのOffice Professional Plus 2016には「新機能」ボタンが存在しないことにも注目してください。

 以下の「Office 2016新機能」のサイトでも、「Word」「Excel」「PowerPoint」「Outlook」で利用可能な機能として紹介されています。その上で、Office搭載PC(プリインストール製品)とパッケージ製品/ダウンロード製品の購入が案内されており、最新バージョンのOffice 2016なら「アイコンの挿入」機能が使えると思う人がほとんどではないでしょうか。

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