体の筋肉を付けるためには、家でお菓子を食べながらテレビを見ているだけではダメなように、働く筋肉を付けるためには、程よい負荷が必要なのは間違いのない事実でしょう。
問題なのは、「負荷の程度や種類」なのかもしれません。
先日、あるバラエティ番組に、女優の濱田マリさんが出演されていました。濱田さんはいま、ボルダリング(室内の壁に付いているさまざまな色の突起物を登るスポーツ)にはまっているそうです。番組で映されていた腕や足の筋肉が、美しくスマートでした。
心身ともにきつい仕事をやっているときに、たまたま撮影現場の近くにあったボルダリングジムに行ったのがきっかけで、やってみたら面白くてはまったのだそうです。
濱田さんによれば、「筋肉を付けようと思ったわけではなく、ボルダリングが面白いのでやっていたら、結果的に筋肉が付いてしまった」とのことです。
働く筋肉も、無理やり負荷をかけるのではなく、楽しいからやっていたら、自然と身に付いた……という形が実現できたら理想的ですよね。また、「筋肉を付ける」ことが目的というよりも、「楽しく働く」ことを目的にできたら良さそうです。
スマートな「働く筋肉」を付けるためには、仕事に対する「価値観」から変えていかないといけないのかもしれません。
仕事に対する一般的なイメージは、「仕事=大変」「仕事=ツライ」「仕事=厳しい」というものではないでしょうか。「仕事とはそもそも苦しいものだ」「そんなに甘いもんじゃない」「お金を稼ぐのは大変だ」「100時間の残業くらいでへこたれるな」「大変なことを経験するから、忍耐力が身に付くのだ」と考えるビジネスパーソンは少なくありません。
そういう働き方をしてきたベテラン世代は、特にそうでしょう。「仕事では、苦労するのが正しい」ぐらいに考えていると思います。
確かに、仕事はツライことも多いし、お金を稼ぐのは大変です。それは否定しません。負荷こそが血肉になるのです。けれども、「仕事=大変」という認識だと、つい、過度な負荷をかけてしまい、マッチョな「働く筋肉」を身に付けよう(あるいは、周りの人に身に付けさせよう)としてしまいがちです。
私たちの周りに肉体的にマッチョな人があまりいないように、ハードなトレーニングに耐えられる資質を持っている人は限られています。何のトレーニングもしていない一般の人がゴリマッチョを目指して、いきなり重たいバーベルを持ち上げようとしても、体を壊したり、挫折しそうになったり、心が折れそうになったりしてしまうでしょう。
「働く筋肉」も同じです。スマートな「働く筋肉」を身に付けるために必要なのは、仕事の「楽しさ」です。
そこで、仕事に対する価値観を、「仕事は楽しくてもいいのかも」「楽しく働くことで身に付く筋力もあるのかも」のように、「仕事=楽しい」に変えてみるのはどうでしょうか。
とはいえ、いきなり「仕事=楽しい」と認識を変えろと言われても、なかなかできないのが実際のところでしょう。そこで、仕事に対する認識を変え始める最初のステップは、「仕事=楽しいのかも」「仕事=楽しくてもいいのかも」のように、「かも」で十分だと思います。
もちろん、厳しい環境の中で身に付ける、マッチョな「働く筋肉」を目指したい人は、「仕事=厳しい」というイメージを持つのもいいでしょう。けれども、「厳しさ」をモチベーションにできる人は限られたごく一握りの人だけ。私のような凡人には無理みたいです。
でも、仕事の「楽しさ」ならモチベーションのきっかけになると思います。私は楽しく働きたいし、いい気分で仕事をしたい。
美しくスマートで、程よく引き締まった「働く筋肉」を身に付けるためには「楽しさ」があった方がいい。そのためには、仕事に対する価値観を変えることから始めるのが良いのだと思います。
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