PIXELが起動したら、ネットワークの接続を確認しよう。[メニュー]バーの右側の方にある[ネットワーク]アイコンに赤いバツが付いていたら、ネットワークへ接続できていない。
ノートPCにインストールした場合は、[ネットワーク]アイコンをクリックして、メニューから[Turn Off Wi-Fi]と[Turn On Wi-Fi]を繰り返すと、SSIDが表示されるので、接続先のSSIDを選択して、パスワードを入力する。機種によっては、接続が完了するまで時間がかかるようだ。
ネットワークの接続が完了したら、PIXELをアップデートするため、以下のコマンドを順番に実行する。
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get upgrade
PIXELは、デフォルトでは全て英語表示になっている。これを日本語表示に変更しよう。
[メニュー]バー左端にある[Raspberry Pi]アイコンをクリックし、表示されたメインメニューから[Preferences]−[Raspberry Pi Configuration]を選択する。[Raspberry Pi Configuration]ダイアログが表示されるので、ここの[Localisation]タブを開き、[Set Locale]ボタンをクリックする。開いた[Locale]ダイアログの「Language」で「ja(Japanese)」を「Character Set」で「UTF-8」を選択して[OK]ボタンをクリックする。
同様に、[Set Timezone]で「Japan」を、[Set Keyboard]で接続しているキーボード(日本語キーボードならば「Country」で「Japan」、「Variant」で「Japanese(OADG 109A)」)を選択する。また、無線LANを利用するのであれば、「Set WiFi Country]で「JP Japan」を選んでおく。[Raspberry Pi Configuration]ダイアログの[OK]ボタンをクリックすると、再起動が要求されるので、[Yes]ボタンをクリックして再起動を行う。
再起動後、PIXELの表示が日本語に変わっているはずだ。
キーボードも、キートップの表示に合ったものが入力されるはずだが、PCによっては「Set Keyboard」で設定しても、英語キーボードから設定が変わらないことがあるようだ。このような場合、ターミナルを起動して以下のコマンドを実行するとよい。
$ setxkbmap -layout jp
PIXELでは、初期パスワードとして「raspberry」が設定されている。このままではセキュリティ上、問題があるので、パスワードを変更しておこう。
[メニュー]バーにある[Raspberry Pi]アイコンをクリックし、メインメニューから[設定]−[Raspberry Piの設定]を選択する。[Raspberry Piの設定]ダイアログが開くので、[システム]タブを開き、[パスワードを変更]ボタンをクリックする。[パスワードの変更]ダイアログの「Current password」に「raspberry」と入力し、「新しいパスワードの入力」「新しいパスワードの再入力」に新しいパスワードを入力するとパスワードを変更できる。
コンピュータ名も同様にして、「Hostname」に新しい名前を入力すればよい。
PIXELに標準インストールされているWebブラウザの「Chromium(Google Chromeのオープンソース版)」も、デフォルトではメニューなどが英語表示となっている。閲覧するWebページは、日本語表示が可能だが、やはり設定項目などが英語表示だと分かりにくいので、これも日本語化しておこう。
メインメニューの[設定]−[Add / Remove Software]を選択する。[Add / Remove Software]ダイアログの入力ボックスに「Chromium」と入力して[Enter]キーを押し、パッケージの検索を行う。「web browser - language packs(パッケージ名は『chromium-l10n-<バージョン番号>』)」を見つけてチェックを入れ、[Apply]ボタンをクリックする。[Authentication]ダイアログが表示されるので、パスワード(デフォルトは「raspberry」。前述の設定でパスワードを変更していた場合はそのパスワード)を入力すると、言語パックのダウンロードとインストールが行われる。
これでChromiumの日本語言語パックがインストールされ、Chromiumブラウザのメニューや設定などが日本語表示に変わるはずだ。
なおデフォルトの検索エンジンは「DuckDuckGo」となっているので、アドレスバー右側の[設定]アイコンをクリックし、メニューで[設定]を選択、[設定]ページの「検索」を「DuckDuckGo」から「Google」に変更すればよい。これでデフォルトの検索エンジンが「Google」になる。
日本語入力システムのインストールも必要になるだろう。PIXELで使える日本語入力システムには、「Anthy(アンシー)」「Wnn(ウンヌ)」「Mozc(モズク)」などがある。Windows OS版なども提供されているGoogle日本語入力システムのオープンソース版である「Mozc(モズク)」をインストールするのがよいだろう。
[Add / Remove Software]を使ってインストールすることも可能だが、ターミナルを起動し、以下のコマンドを順番に実行する方が簡単だ。
$ sudo apt-get install fcitx-mozc -y
$ im-config -n fcitx
$ sudo reboot
「sudo apt-get install fcitx-mozc -y」でMozcをインストールし、「im-config -n fcitx」でインプットメソッドフレームワークのFcitx(ファイティクス)を有効化、「sudo reboot」で再起動する。
デフォルトでは、[Ctrl]+[Space]キーまたは[半角/全角]キーで日本語入力の「オン」「オフ」が切り替えられる。これを変更するには、メインメニューの[設定]−[fcitx設定]を選択する。[入力メソッドの設定]ダイアログが開くので、「全体の設定」タブを選択して、「入力メソッドのオンオフ」で、[CtrlSpace]または[Zenkakuhankaku]の変更したいボタンをクリックして、日本語入力の「オン」「オフ」に使うキーを設定すればよい(両方変更してもよい)。[変換]キーや[カタカナひらがな]キーなどに設定しておくと便利だ。
Mozcの設定は、Windows OS版のGoogle日本語入力システムと同じなので、共通の設定が可能だ。
PIXELには、OfficeスイーツとしてオープンソースのLibreOfficeが標準でインストールされている。ただ、標準状態ではメニューなどの表示が英語のままなので、これも日本語化するとよい。やはりターミナルを起動して、以下のコマンドを実行する。
$ sudo apt-get install libreoffice-help-ja
これでメニューだけでなく、言語設定なども日本語に設定されるので、Mozcを使って日本語による文書や表計算、プレゼンテーションなどの作成が可能になる。ただし、PIXELの文字コードはUTF-8(もしくはEUC)になっているので、Windows OS(Sift-JIS)とやりとりする際には文字コードの変換が必要になる。
例えば、Webブラウザの「Firefox」の場合、[ソフトウェア]アプリから簡単にインストールできる。具体的には、[ソフトウェア]アプリの「カテゴリ」で[インターネット]を選択し、「注目ソフト」にある「Firefox」をクリックして[Firefox]のページを開き、そこにある[インストール]ボタンをクリックすれば、[認証が要求されました]ダイアログでパスワードの入力を求められるので、ログインする際に入力するパスワードを入力すればよい。他のアプリケーションでも、[ソフトウェア]アプリにあるものであれば、同様に簡単にインストール可能だ。
さて、PIXELの使い勝手はどのようなものなのだろうか。
2007年6月に発売された、富士通の「FMV-BIBLO LOOX U50WIN」にPIXELをインストールしてみた。このモバイルPCは、CPUにA110(800MHz)、メモリ1GB、ディスク30GBという仕様だ。Windows XPが搭載されていたが、ご存じの通り、Windows XPはサポートが終了しており、セキュリティ更新プログラムの提供もなくなっている。Google Chromeもサポート切れで、インストールできない。
当然ながらこの状態では使いみちがないので、PIXELをインストールして復活させてみた。
インストールや設定は、上述の方法で順番に行った。PIXELの更新やMozcのインストールは若干時間がかかった。また、テキストエディタの起動やMozcによる日本語入力にはそれほどストレスを感じないものの、ChromiumやLibreOfficeの起動は少々待たされるという感じだ。ただ、これはWindows XPのときもInternet ExplorerやOfficeの起動には時間がかかったので、それに比べれば十分快適になっている。
またGoogle Chromeとの同期や各種拡張機能が利用できるので、Google Chromeを活用している人は移行も容易だろう。ただ、Chromeリモートデスクトップは残念ながら実行に必要なモジュールが提供されていないようで、拡張機能はインストールできるものの、リモートデスクトップ接続は行えなかった。
なお日本IBMの「ThinkPad X200s(Windows Vista世代)」やパナソニックの「Let's note CF-RZ4(Windows 8世代)」でも試したが、こちらは「FMV-BIBLO LOOX U50WIN」に比べてCPU性能が高いこともあり、十分に快適であった。「Let's note CF-RZ4」の場合、USBメモリを使った「Run with persistence」でも、PIXELの更新やアプリケーションの起動は少々遅いものの、実用的に使えるレベルと感じた。
Windows XP世代以降のPCが余っているようならば、PIXELで復活を試みてはいかがだろうか。
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