Excel VBAを使って業務効率化を実現。しかし、自分で書いたコードをメンテナンスするとき、コードの解読に時間がかかってしまったり、エラーが解消できなかったりといった苦い経験はないだろうか。どうすれば将来も楽になるコーディングができるのだろうか。
書籍の中から有用な技術情報をピックアップして紹介する本シリーズ。今回は、秀和システム発行の書籍『ExcelVBAを実務で使い倒す技術』からの抜粋です。
ご注意:本稿は、著者及び出版社の許可を得て、そのまま転載したものです。このため用字用語の統一ルールなどは@ITのそれとは一致しません。あらかじめご了承ください。
あなたが最初にVBAを学ぼうと思ったきっかけは何だったか、覚えていますか?
おそらく、多くの方は「自分の業務をさっさと終わらせたい」とか「いつもの繰り返し作業がダルすぎる」とか、ごく個人的な動機からVBAを学び始めます。
そして、入門書を片手にマクロ記録を活用しながら、ちょっとした業務をVBA化してみたら、今まで何時間もかかっていた仕事が瞬殺で終わった。何より、自分で作ったコードが思い通りに動くのが楽しい!
そんな感動を味わうことでしょう。
すると、周りにその感動をシェアしたくなるのが心情。同僚向けにカスタマイズしてあげたり、誰でも使えるようにユーザーインターフェースを設置したり。そんなことをしていると、会社のアチコチがあなたのVBAツールの虜になっていきます。
ここまでは、良いことづくめですよね。
問題は、ここから先の展開です。
周りの人たちは、あなたの作ったVBAツールに依存をするようになります。あなたのツールが誰でも、また、いつまでも使用できれば何の問題も起きませんが、そう上手くはいきません。
業務というものは、必ず変化を伴います。ですから、業務で使用するツールも合わせて変更を要します。また、ITリテラシーが高くないユーザーは、あなたが想定しなかった操作をしてしまうときがあります。そんな人は、それを「不具合だ」と言うでしょう。
そういった「要望」が、次から次へと出てくるようになる。いつの間にか、あなたが背負う期待と責任が増大している。
そんな事態になっているわけです。
つまり、あなたのVBAスキルには、より高い精度が求められることになる。次第に、あなたの作業ボリュームが増していき、あなたのキャパを超えてくる。
そんな状況下、あなたは次のような苦い経験をすることになるでしょう。
個人レベルで自身が使うツールであれば「正しかった」。しかし、周りの期待に応え、その評価にさらされ始めると「正しくない」ことが出てくる。
今まで培ってきたVBAスキルが通用せず、自信を持てなくなります。
長々と書いてしまいましたが、前述の内容に少しでも共感を持っていただけたなら、おそらくあなたのVBAレベルは「初級から抜け出せていない。中級レベルまでもう少し」といったところでしょう。
そんなあなたにまず必要なのは、高度なステートメント覚えることでもなく、大量のコードを書けるようになることでもありません。むしろ逆。
それは「楽をするスキル」です。
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