Microsoft、IoT SaaSソリューション「Microsoft IoT Central」のパブリックプレビューを開始IoTアプリケーションを容易に開発、運用できる

Microsoftは、IoTのベストプラクティスをサポートし、優れたセキュリティや信頼性を提供する高スケーラビリティのIoT SaaSソリューション「Microsoft IoT Central」のパブリックプレビューを開始した。

» 2017年12月07日 11時00分 公開
[@IT]

 Microsoftは2017年12月5日(米国時間)、IoT SaaSソリューション「Microsoft IoT Central」のパブリックプレビューを開始した。

 Microsoft IoT Centralは、IoT(Internet of Things)のベストプラクティスを、Microsoft Azureの信頼性や可用性、高いセキュリティとともに提供する。企業はMicrosoft IoT Centralを利用することで、本番環境で使えるレベルのIoTアプリケーションを数時間で構築でき、バックエンドインフラ全体の管理や、ソリューションを開発するための新しいスキルセットを持つ人材の採用に、悩まずに済むという。

Microsoft IoT Central(出典:Microsoft)

 Microsoft IoT Centralの概要は以下の通り。

接続とセキュリティ

 Microsoft IoT Centralは「Azure IoT Hub」をクラウドゲートウェイとして利用することで、デバイスの接続、プロビジョニング、更新、デバイスへのコマンド送信を安全に行える。ユーザーは、以下のような機能を利用できる。

  • デバイスの認証と安全な接続:各デバイスは固有のセキュリティキーを使ってクラウドに安全に接続する
  • 幅広いデバイスライブラリセット:Node.js、C/C#、Javaといった言語やプラットフォームがサポートされているAzure IoTデバイスSDKを利用できる
  • IoTプロトコルと拡張性:デバイスの接続プロトコルとしてMQTT 3.1.1、HTTP 1.1、AMQP 1.0をネイティブにサポートする
  • スケーラビリティ:自動スケーリングによって、数百万台のコネクテッドデバイスやクラウドゲートウェイから取り込まれ、時系列でストレージに毎秒数百万件と保存されるイベントデータをサポートする

デバイスとデバイステンプレート

 Microsoft IoT Centralは、デジタルでコネクテッドデバイスを作成し、持続させる機能を提供する。こうしたデジタルのデバイス作成は、クラウド上の「Microsoft IoT Central Application Builder」内で行われる。ユーザーはこのローコード環境で、コネクテッド資産からのドラッグ&ドロップでデバイスの属性と可視化を定義できる。

 実際のデバイスを接続する前に、Microsoft IoT Centralに組み込まれたシミュレーションサービスによってデバイスをシミュレートし、アプリケーションをテストできる。デバイスの大規模なプロビジョニングを迅速かつ容易に行えるように、デバイスはテンプレート化される。またDevOpsをサポートするために、テンプレートのバージョン管理が行われる。

デバイスの指標

 デバイスを効果的に監視、管理するために、ユーザーはデバイスから発せられ、アプリケーションで表示されるさまざまな指標を定義できる。Microsoft IoT Centralがサポートする指標の種類には、「テレメトリー」(デバイスが発する温度のような数値など。定期的に収集されることが多い)や、「イベント」(デバイスが発する、推論可能な長期的関係がない数値または数値以外の値。ボタン押下やエラーコードなど)、「状態」(デバイスが発する、数値または数値以外の値。デバイスまたはその一部の状態を定義し、状態が変わるまで維持される。エンジン始動など)などがある。

デバイスのプロパティと設定

 Microsoft IoT Centralでは頻繁に変更されることがないデバイスの関連ビジネスデータ(顧客名、住所、最終保守日など)を追跡するために、メタデータを利用できる。メタデータはクラウドで保持され、デバイスプロパティかクラウドプロパティによって更新される。メタデータは、Microsoft IoT Centralで設定を通じてデバイスをリモート管理するのにも使える。

ルールエンジン

 IoTソリューションの重要な要素として、デバイスの状況が重要な基準を満たした場合に、ユーザーに通知し、適切なアクションをトリガーする機能が挙げられる。

 Microsoft IoT Centralでは、この機能をサポートするために、ユーザーが「ルール」(デバイスの指標、プロパティ、設定に基づいて規定された一連の状況)を作成できるようになっている。ルール作成の出発点となるルールテンプレートも用意されている。

 デバイスの状況は、Microsoft IoT Centralが自動的に管理およびスケーリングするリアルタイム分析サービスにより、ストリーミングデータや永続データに基づいて検証され、ルールに該当すると、アクションがトリガーされる。

デバイス管理

 Microsoft IoT Centralでは、大量のデバイスを管理するユーザーが、デバイスプロパティなどの動的条件を基に「デバイスセット」を作成できる。これにより大量のデバイスを小規模な論理的セットにグループ化し、データを可視化、分析しやすくなる。デバイスセットは、効果的な「ダッシュボード」を作成するために、また時系列分析の出発点として利用できる。

分析とダッシュボード

 Microsoft IoT Centralは、フルマネージドの分析、保存、可視化サービスである「Azure Time Series Insights」を統合し、ユーザーが、世界中にデプロイされたデバイスから同時に得られる膨大なイベントストリーミングを探索、分析できるようになっている。スケーラブルな時系列データストレージや幾つかのデータ探索手法を利用して、数百万のデータポイントの同時探索および可視化、根本原因分析、複数サイトや資産の比較を行える。

 デバイスとデバイスセットについては、構成可能な分かりやすいタイルが配置されたダッシュボードを利用できる。ダッシュボードは、情報の表示目的に合わせてカスタマイズできる。

認証と権限付与

 Microsoft IoT Centralは、「Azure Active Directory」を使った企業ユーザーの認証と、「Microsoftアカウント」を使った個人ユーザーの認証をサポートしている。アプリケーションアクセスの権限付与は、ユーザーへの役割の割り当てを通じて行われる。2要素認証などのセキュリティ管理機能もサポートされている。

無料トライアル

 Microsoft IoT Centralは30日間の無料トライアルが可能だ。無料トライアルでは、最大10台のデバイス接続やシミュレーションを行うことができ、全機能を利用できる。アプリケーションテンプレートを使って開発を始めることもできる。


 Microsoftは、「IoTソリューションのカスタマイズ、デプロイ、スケーリングに関連する複雑さを軽減し、IoTのシンプル化のメリットを企業顧客に享受してもらえるように、Microsoft IoT Centralは、包括的なエンタープライズグレードの機能セットを提供し、実績ある技術や高評価を得ているMicrosoft Azureサービスを活用している」と述べている。

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