社員の健康が重要な経営指標に――富士通と東京大学川上研究室、「健康経営」評価を予測する実証プログラムを実施社員の「健康」「不健康」をプログラムが予測

富士通は、企業の健康経営の評価を予測する実証プログラムを、東京大学医学系研究科の川上研究室と共同で実施する。健診受診率から疾病休業者数を予測するプログラムを開発し、その有効性を検証する。

» 2017年12月20日 11時00分 公開
[@IT]

 富士通は2017年12月19日、企業の健康情報などを活用して「健康経営」の評価を予測する実証プログラムを、東京大学医学系研究科の川上研究室と共同で、2017年12月から2018年3月まで実施すると発表した。

 健康経営とは、「従業員の健康保持や増進が、将来的に企業の収益性や生産性、企業イメージの向上などにつながる」という考えの下、その実現を経営課題と見なし、戦略的な取り組みを実践することを指す。企業の健康経営を評価する指標には、「ストラクチャー評価指標(健康経営推進体制)」や「プロセス評価指標(健診受診率)」「アウトカム評価指標(疾病休業者数)」がある。

 近年、就業人口の減少や医療費高騰、保険料の上昇などを背景に、従業員とその家族の健康が、企業経営に影響を与える要素として注目されている。2016年からは、経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営に積極的に取り組む企業を「健康経営銘柄」として選定し、公表を開始した。

 富士通によれば、健康経営の実践には、企業や健康保険組合が保有する従業員の健康情報を収集、分析し、得られた評価指標に応じて有効な対策づくりを進める必要があるという。ただし、各評価指標間の相関関係が不明瞭なことから、各企業が健康経営に向けた取り組みに効率よく評価指標を活用するための知見獲得が課題になっていた。

画像 富士通と東京大学医学系研究科の川上研究室による実証プログラムの概念図(提供:富士通)

 富士通と川上研究室は共同で、川上研究室が保有する健康関連の調査データや文献を基に、プロセス評価指標(健診受診率)とアウトカム評価指標(疾病休業者数)の相関関係を導き出すアルゴリズムを開発する。

 富士通の職場ストレスチェックシステム「FUJITSU ヘルスケアソリューション 組織ストレスアセスメントe診断@心の健康」および企業向け健康情報管理システム「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE webH@ins−GX」で健康情報を蓄積し、人事給与システムの就業データ、各評価指標の相関関係を導き出すアルゴリズムと組み合わせることで、現在のプロセス評価指標から将来のアウトカム評価指標を予測するプログラムを開発する。

 同プログラムで予測したアウトカム評価指標は、「企業の健康経営の推進に向けた施策立案の支援にどう役立つか」といった有効性の検証を受ける。富士通は、検証結果を同社の各種ヘルスケア関連ソリューションと連携する健康経営ソリューションの製品化に役立てたい考えだ。

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