ノークリサーチが中堅中小企業の顧客対応改善に関するIT機器への投資意向の調査結果を発表。導入予定割合と初年度合計費用のどちらも高かったものはなかった。
ノークリサーチは2018年4月9日、「2018年版DX時代に向けた中堅・中小ITソリューション投資動向レポート」を発表した。これは、中堅中小企業の顧客対応改善に関して、チャットbotやスマートスピーカー、ロボットといった先進的なIT機器への投資意向を調査したものだ。
ノークリサーチでは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)がもたらす変化は中堅中小企業のIT活用にも影響を及ぼしつつある」としており、同レポートではDXに関する40項目についてITの活用意向を尋ねた。これらの項目は「顧客対応の改善」「人材の活性化」「データ処理の自動化」「現場作業の効率化」「間接業務の効率化」の5つの設問に分類されている。
そのうち、「Web/メール/SNSを跨ぐ顧客対応」や「名刺のデータ化による顧客共有」「AI(人工知能)を活用したチャット自動応答」といった顧客対応を改善するITについて、導入予定割合と許容できる初年度合計費用について尋ねたところ、導入予定割合と初年度合計費用のどちらも高かったものはなかった。
導入予定割合が高いものには「遠隔会議を用いた接客やセミナー」「名刺のデータ化による顧客共有」「Web/メール/SNSを跨ぐ顧客対応」が、許容できる初年度合計費用が高いものには「会話音声分析による顧客応対改善」「活動履歴分析による顧客応対改善」「AIを活用したチャット自動応答」があった。いずれも導入予定割合が高いものは初年度合計費用が低く、初年度合計費用が高いものは導入予定割合が低かった。
次に、「Web/メール/SNSを跨ぐ顧客対応」について望ましいと考えるシステム形態(クラウドまたはオンプレミス)について聞いたところ、クラウドが73.4%、オンプレミスが26.7%だった。ノークリサーチでは、顧客動向を把握するにはSNSなどのインターネット上の情報も利用することが重要であるため、クラウド形態が望ましいと回答する企業が多くなると分析している。
「会話音声分析による顧客応対改善」と「活動履歴分析による顧客応対改善」についてスマートフォンやタブレット端末の導入意向を尋ねたところ、「スマートフォンなどの利用あり」と回答した割合は、前者で57.0%、後者で50.8%だった。
この点についてノークリサーチでは、「会話音声分析による顧客応対改善」の場合は音声を記録できれば良いため、可搬性の高いスマートフォンなどの利用意向が高くなると分析している。一方、「活動履歴分析による顧客応対改善」では活動履歴を分析する際に情報を入力する必要が出てくるため、スマートフォンなどではなくノートPCなどを選択する割合が高くなると見ている。
同社では、スマートフォンなどの利用意向はITシステムの開発工数に大きく影響するため、システム形態(クラウドまたはオンプレミス)だけでなく、スマートフォンなどの利用意向も把握する必要があるとしている。
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