de:code 2018の基調講演で披露された「Visual Studio」「Visual Studio Code」の新機能Microsoftが1060万ユーザーに送る

日本マイクロソフトは2018年5月22、23日にデベロッパーイベント「de:code 2018」を開催。基調講演では、AIやIoTなどの最新テクノロジーを通じて日本の社会変革に貢献するため、Microsoftが何を提供していくのか、複数のデモや映像を交えて紹介した。

» 2018年05月25日 19時40分 公開
[石川俊明@IT]

 日本マイクロソフトは2018年5月22、23日、ザ・プリンスパークタワー東京において、デベロッパーイベント「de:code 2018」を開催した。Microsoftが2018年5月7〜9日にシアトルで開催した年次カンファレンス「Build 2018」のトピックを含む、最新テクノロジーと今後の方向性が日本の開発者に紹介された。

Microsoft Corporate Vice President of the Developer Division ジュリア・リウソン(Julia Liuson) Microsoft Corporate Vice President of the Developer Division ジュリア・リウソン(Julia Liuson)氏

 「Transforming Intelligence」と題された基調講演では、Microsoft本社から来日した3人のスピーカーが中心となり、AI(人工知能)や「MR」(Mixed Reality:複合現実)の進化や、ソフトウェアエンジニアを通してIoT/クラウドプラットフォームから生み出される価値と組織にもたらす変化について、最新のデモを交えて紹介した。

 本稿では、基調講演において、MicrosoftでCorporate Vice President of the Developer Divisionを務めるジュリア・リウソン(Julia Liuson)氏の講演内容から、「Visual Studio」(以下、VS)と「Visual Studio Code」(以下、VS Code)の新機能をピックアップする。

実装中のコードから実行環境まで共有できる「Visual Studio Live Share」

 リウソン氏が最初に紹介したのは、700万人のアクティブユーザーを持つMicrosoftのVSや360万人のアクティブユーザーを持つVS Codeの相互運用を可能にする「Visual Studio Live Share」だ。VSやVS Codeのバージョンの違いを考慮する必要なくコードをリアルタイムに共有し、共同で編集やデバッグができる。

「Visual Studio Live Share」 「Visual Studio Live Share」

 デモでは、日本マイクロソフトの大森彩子氏と原綾香氏がWindows 10で起動しているVS 2017 Community EditionとmacOSで起動しているVS Codeを利用した共同作業の様子を実演した。コードを共有するために生成されたリンクをクリックすると、VS Codeで書かれたコードが、インターネット経由でVS上に表示される。

実演デモで登壇した日本マイクロソフトの大森 彩子氏実演デモで登壇した日本マイクロソフトの原綾香氏 実演デモで登壇した日本マイクロソフトの大森 彩子氏(左)、原綾香氏(右)。
共有中は共有先のユーザー名がカーソルに表示される(写真中央赤枠部分) 共有中は共有先のユーザー名がカーソルに表示される(写真中央赤枠部分)

 デモで示されたmacOS上のVS Codeで書かれていたコードは、ローカル環境で構築されたサーバで動くNode.jsアプリケーションのものだが、共有先のWindows PCにはNode.jsが導入されていないという状況だ。そこで、macOS側のTerminalやLocal Serverも併せてWindows 10側に共有することで、開発環境の差異や実行環境の有無の問題を解決するという。

サーバ共有ではローカルサーバのポートを選択して共有できる(赤枠) サーバ共有ではローカルサーバのポートを選択して共有できる(赤枠)

 この機能は2018年5月8日からパブリックプレビューとして無料で公開されていて、プラグインを導入することで利用することが可能だ。

参考記事:Visual Studio Live Share:開発者間のリアルタイムコラボレーションを実現

モバイルアプリ開発環境を支援する「Visual Studio App Center + GitHub」

 リウソン氏が続いて紹介したのは、Microsoft Azure上でiOSやAndroidアプリケーションのビルドを可能にする「Visual Studio App Center」とGitHubを連携した「Visual Studio App Center + GitHub」だ。モバイルアプリ開発におけるアプリのビルドやテスト、デプロイの実行をGitHub上で可能にする。GitHub Marketplaceで開発用ツールとして「App Center」が提供される形だ。

「Visual Studio App Center + GitHub」 「Visual Studio App Center + GitHub」
実演デモで登壇した日本マイクロソフトの千代田まどか氏 実演デモで登壇した日本マイクロソフトの千代田まどか氏

 デモでは、日本マイクロソフトの千代田まどか氏がSwiftで書かれたサンプルアプリケーションを利用して、自動ビルドやUIテストの流れを実演した。Visual Studio App Center + GitHubはObjective-CやXamarin、React Native、Javaで書かれたアプリケーションにも対応している。

 異なるバージョンのOSや、違う言語設定のスマートフォン100種類以上の実機環境がApp Center上で提供される。ビルドされたアプリが端末で動作しない場合には、デバイス側のエラーログの確認や、CPUやメモリの使用率といった情報を確認できるという。


一度に100以上を超えるスマートフォンでのUIテストができる動作に失敗したスマートフォンの詳細やログが確認できる 1度に100以上を超えるスマートフォンでのUIテストができる(左)。動作に失敗したスマートフォンの詳細やエラーログの確認もできる(右)。

 ビルドされたアプリを開発者同士で共有する場合や、ストアで配布する場合は、設定画面からブランチの「ディストリビュートビルド機能」をONにすることで、配布先を指定することができる。千代田氏は「ユーザー情報の分析やPush通知、クラッシュレポートの機能も利用可能だ」と述べた。

 この機能は2018年5月22日から利用可能となっている。基本利用は無料で、有料プランも提供されている。

【訂正:2018年5月26日午前12時30分】初出時、Visual Studio App Center + GitHubでエミュレーターを使っているという表現になっておりましたが、実機環境の間違いでした。お詫びして訂正いたします(編集部)。

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