Excelで消費税計算などの端数処理をする方法Tech TIPS

Excelで見積書や請求書などを作成する際、消費税などの計算結果に対して、小数点以下の数を切り捨てたり、切り上げたりする端数処理を行わなければならないことがあるだろう。特に「切り捨て」を行う処理にはいくつかの関数がある。ここでは、こうしたExcelの端数処理の関数をまとめて紹介する。

» 2018年06月04日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]

対象:Microsoft Excel 2010/2013/2016


「切り捨て」には3種類の関数がある

 Excelで見積書や請求書を作成する際、消費税などの計算で1円未満の端数処理が必要になる。1円未満の端数は、会社や相手によって「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」といった処理を行う必要がある。

Excelで作成した見積もり書 Excelで作成した見積もり書
消費税や合計などの計算結果で小数点以下の値が生じた場合、端数処理が必要になる。端数処理は、会社などによってルールがあるので、それに合わせて「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」といった処理を行う。

 例えば、消費税額を切り捨て処理するのであれば、消費税率「0.08」を掛けた値をINT関数で整数化すればよい。また同様の関数として、TRUNC関数ROUNDDOWN関数を利用してもよい。いずれも、「指定された数値を超えない最大の整数にする」ものだ。

 INT関数とTRUNC関数、ROUNDDOWN関数の違いは、負の値を整数化する場合に表れる。例えば、「-56.789」を整数化する場合、INT関数は「-57」になるのに対し、TRUNC関数とROUNDDOWN関数は「-56」(桁数を省略した場合)になる。INT関数は「0」から離れた値に(マイナスの無限大方向に)丸められるのに対し、TRUNC関数とROUNDDOWN関数は単純に正負に関わらず小数点以下が切り捨てられる(0に向かって丸められる)。

 また、INT関数は桁数の指定が行えないが、TRUNC関数とROUNDDOWN関数は切り捨てを行った後の桁数(丸める桁)を指定できる。桁数の指定は、「0」が整数、「1」が小数点1位、「-1」が十の位、「-2」が百の位となる。

TRUNC関数とROUNDDOWN関数の桁を示す値 TRUNC関数とROUNDDOWN関数の桁を示す値

 例えば、千円以下の端数を切り捨てて、千円単位(千の位に丸める)にしたいような場合は、「=TRUNC(56789,-3)」とすれば、百や十、一の位が切り捨てられて「56000」となる。同様に、「=ROUNDDOWN(56789,-3)」としてもよい。なお、TRUNC関数では桁数の指定を省略(小数点以下切り捨て)できるのに対し、ROUNDDOWN関数では桁数の指定が必須であるという違いがある。

関数の書式例 結果の値
=INT(56.789) 56
=INT(-56.789) -57
=TRUNC(56.789,0) 56
=TRUNC(-56.789,0) -56
=TRUNC(56789,-3) 5600
=ROUNDDOWN(56.789,0) 56
=ROUNDDOWN(-56.789,0) -56
=ROUNDDOWN(56789,-3) 56000
切り捨ての関数

「切り上げ」にはROUNDUP関数、「四捨五入」にはROUND関数を使う

 INT関数やTRUNC関数、ROUNDDOWN関数では「切り上げ」や「四捨五入」は行えないので、この場合は別の関数を利用する必要がある。「切り上げ」の場合は「ROUNDUP関数」、「四捨五入」の場合は「ROUND関数」を使えばよい。関数名から分かるように、いずれもROUNDDOWN関数と同じ書式の関数である。

端数の処理法 関数の書式例 結果の値
四捨五入 =ROUND(56.123,0) 56
四捨五入 =ROUND(56.789,0) 57
切り捨て =ROUNDDOWN(56.789,0) 56
切り上げ =ROUNDUP(56.789,0) 57
ROUND系関数の書式例と結果の例

 3種類のROUND関連関数を覚えておけば、「切り捨て」が「四捨五入」や「切り上げ」に変更になっても簡単に書き換えが行えるだろう。

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