IDC Japanが企業を対象に実施したDevOpsの実践状況に関する調査結果によると、DevOpsを実践している企業の割合は28.1%。その内41.4%の企業が、DevOpsの実践によってビジネス成果が出ていると回答した。51.1%がクラウドを利用し、86.2%がコンテナ技術を使用していた。
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IDC Japan(以下、IDC)は2018年12月25日、企業を対象としたDevOpsの実践状況に関する調査結果を発表した。
それによるとDevOpsを実践している企業の割合は28.1%で、2017年調査の20.0%から8ポイント増加した。「実践する具体的な計画がある」と回答した企業の割合も16.7%あり、IDCでは、2019年はさらにDevOpsの実践率が上昇するとみている。
調査内容を詳しく見ると、DevOpsを「IT組織全体で実践している」という企業の割合は、2017年に比べて6ポイント増加の12.6%。「一部の部門/プロジェクトで実践している」と回答した割合は15.5%だった。
DevOpsの実践率が最も高い業種は次の通り。
業種 | 実践率 |
---|---|
ソフトウェア/システム開発業(ソフトウェアベンダー、システムインテグレーター) | 37.4% |
通信/サービスプロバイダー業(通信、クラウドサービス、インターネットコンテンツプロバイダー、メディア) | 32.2% |
IT関連以外で実践率が最も高いのは、FinTechビジネスの開発が加速している金融業で、28.3%だった。
次に、DevOpsを実践している企業が採用している技術を調べたところ、クラウドサービスやコンテナ技術が多かった。51.1%がDevOps環境の構築にパブリッククラウドサービスを使用していた。クラウドベンダーごとの採用率は、Microsoft Azure(43.2%)、Amazon Web Services(39.2%)、Google Cloud Platform(25.7%)、IBM Cloud(20.3%)だった。
一方、DevOps環境にDockerやKubernetesなどのコンテナ技術を使用している企業は86.2%に上った。開発環境やテスト環境で利用されるケースが多い。
DevOpsによるビジネス成果(売上、利益、顧客満足度の向上)については、41.4%の企業がDevOpsの実践によってビジネス成果が出ていると回答した。内訳は、「期待以上に大きなビジネス成果が出ている」が11.7%、「期待通りのビジネス成果が出ている」が29.7%だった。
IDC Japanでソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーを務める入谷光浩氏は今回の調査を次のようにまとめた。
「DevOpsを実践する企業は拡大しているが、ビジネス成果につなげている企業はまだ半数にも満たない。成果を出していくためにはツールや技術の活用だけではなく、人材、組織、文化、プロセスをDevOpsに適合させていくことが重要だ。これからDevOpsに取り組もうとしている企業や組織は、実践前にそうした点を確認しながら進めていく必要がある」
今回の調査は企業のIT管理者が対象で、2018年9月に実施した。有効回答は515社。なおIDCではDevOpsについて、「企業や組織がビジネスのスピード、品質、競争力などのケイパビリティを高めることを目標とし、複数のチームや担当者が共同でアプリケーションの開発から運用までのライフサイクルを効率化するための方法を取り入れ、それを実践すること」と定義している。
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