カナダのIT企業で働いて分かったこと。それは、意外な事実と自分の価値観だった――。
「海外で活躍したい」と希望する人は、IT業界に限らず常に存在する。しかし、そのために何らかのアクションを起こした人は、どのぐらいいるだろうか。
語学力が足りない、コネも人脈もない、渡航費用を捻出できない――アクションを起こさない理由はいくらでも考えられる。だが、行動しない限りは何も変わらないし、行動することによってしか分からないこともある。
今回お話を伺った「Gunosy」の榎本敏丸さんは、同社入社前に「シリコンバレーのIT企業で働くこと」を目指して海外で就業した経歴を持つ、北米帰りのエンジニアだ。
榎本さんは、北海道で生まれ育った。
英語教師をしていた父親の仕事の関係で留学生のホストファミリーをした経験をきっかけに「海外」に興味を持ち、東京の大学に進学して国際政治経済学を専攻した。
「異文化コミュニケーションが面白そうだと思い、当時新設されたばかりの国際コミュニケーション学科を選びました。英語を話せるようになりたいと思っていました。また、できるだけいろいろな人と話せるようになりたいと考え、第二外国語は中国語を選択しました」
PCはレポート作成や調べ物などで使っていたが、それ以上にのめり込むことはなかった。
「『プログラミング講習』の授業は受けてみましたが、Excel VBAでワークシートの操作を自動化するといった程度で、本格的なプログラミングに足を踏み入れたわけではありませんでした」
それでも榎本さんは、就職活動時にIT業界を視野に入れた。その理由は、1冊の本と出合ったからだという。
「『ウェブ進化論』(梅田望夫著、筑摩書房刊)と出会ったのがきっかけです。『Webの進化により、世の中に一大変化が起きそうだ』と感じてITに興味を持ちました」
同時に「ベンチャー企業は、若手でも大きな裁量を持って働けそうだ」と魅力を感じ、就活生に向けたベンチャー企業紹介セミナーにも足を運んだ。
「ベンチャー企業の情報が豊富なWebサイトをチェックしていました。運営会社が開催しているグループディスカッション講座などに毎週のように通い、就職先を決めました」
榎本さんのこうした「行動」する姿勢は、就活に限った話ではない。この後も人生の節目節目で彼は、「行動」をベースに次の一歩を切り開いている。
行動を貴ぶ榎本さんは、就活でもSIerやネットベンチャー、自社のビジネスにITを積極的に取り入れて活用している不動産企業など、さまざまな業種の説明会に足を運んだ。
最終的に彼が選んだのは、ITベンチャーだった。
「学生時代からWebテクノロジーに興味がありましたが、プログラミングを学んでいたわけではないので、オファーをいただいた企業の中で、エンジニアを養成する研修体制が整っている企業がそのときの自分には良いと思いました」
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