PythonがJavaを追い抜く、SlashDataの開発者実数調査開発者数の伸びで際立つKotlin

SlashDataは、主要なプログラミング言語を使用するアクティブなソフトウェア開発者の数を毎年継続的に推計している。世界のあらゆるタイプの開発者が推計の対象だ。2019年4月には主要な12言語について開発者数や用途の分析結果を発表した。

» 2019年05月07日 11時00分 公開
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 開発者の動向と分析に特化した調査会社SlashDataは、年次調査レポートの最新版「Developer Economics: State of the Developer Nation 16th Edition」を2019年4月に公開した。

 レポートでは「AIと倫理」「開発者とジェンダー」「新興分野への取り組み」「クラウドネイティブ開発の神髄」「プログラミング言語コミュニティーの変化」「アジャイルソフトウェアの現実」という6つの主要なテーマについて開発者の現状を報告している。以下ではプログラミング言語コミュニティーの変化について紹介する。

 SlashDataは、主要なプログラミング言語を使用するアクティブなソフトウェア開発者の数を毎年継続的に推計している。世界のあらゆるタイプの開発者が推計の対象だ。

 この推計は2つのデータに基づいている。一つは、SlashDataが独自に推計した世界のソフトウェア開発者数。もう一つは、同社が6カ月ごとに実施している2万人超の開発者に対する調査結果だ。調査では地域や開発者グループなどの偏りを統計的に取り除いている。

 この調査では、9つの開発分野を対象としてどのプログラミング言語を使っているかを質問することで、「誰がどの文脈でどの言語を使っているか」について、信頼できる情報を得ているという。

JavaScript

 JavaScriptは2018年も、アクティブ開発者数が最も多いプログラミング言語となった。アクティブ開発者数は2018年に250万人増加し、2018年末時点で1170万人に達した。この数にはCoffeeScriptとTypeScriptを利用する開発者も含まれている。JavaScriptは開発者の増加人数でもプログラミング言語の中で最大だった。

上位3言語の開発者数とポピュラーな用途(出典:SlashData)

 開発初心者はJavaScriptを魅力的な入門言語と考えている他、経験を積んだ開発者もスキルセットに加えている。JavaScriptの人気が低いソフトウェア分野(機械学習やIoTのオンデバイスコードなど)でも、開発者の4分の1がプロジェクトでJavaScriptを使っている。

Python

 Pythonはアクティブ開発者数が820万人となり、Javaを抜いて第2位となった。2018年のアクティブ開発者の増加人数も、220万人とJavaScriptに次いで多かった。

 Pythonは機械学習向けの言語として台頭している。機械学習開発者とデータサイエンティストの69%がPythonを使っている(なお、24%がRを使用)。

Java、C#、C/C++

 アクティブ開発者数の3〜5位は、Java(760万人)、C#(670万人)、C/C++(630万人)だった。いずれも実績ある有力な言語だが、開発者の増加ペースは開発者全体の増加ペースより低い。人気が低迷しているわけではないが、開発者が最初に習得しようとする言語ではなくなっている。

 Javaは、モバイルエコシステムとその派生分野(Android)で人気が高いが、IoTデバイス向けではそうではない。

12言語の動向(出典:SlashData)

 C#の使用とMicrosoftの開発者向け製品の使用には相関がある。C#は、デスクトップとAR(拡張現実)/VR(仮想現実)、つまり「HoloLens」向けで人気が高い。C/C++は、パフォーマンスと低レベルアクセスが重要なゲームエンジンとIoT向けのコア言語ファミリーだ。

PHP

 PHPは、アクティブ開発者数が590万人で6位となり、Web開発向けでは2番目に人気がある。Pythonと同様に開発者数が急速に増えており、2018年の伸び率は32%だった。

 やや悪い評判もあるが、学習しやすく、広く導入されていることから、モダンインターネットのための主要言語として成長していく見通しだ。

Kotlin

 2018年にアクティブ開発者数の伸び率が最も高かったのは、Kotlinだ。Kotlinのアクティブ開発者数は、2018年に対前年比58%増の170万人となった。

 Kotlinは、Googleが公式のAndroid開発言語と位置付けていることから、躍進が続きそうだ。Kotlinの成長はSwiftがObjective-CをiOS向けの開発で追い抜いた事例と似た傾向を示すと予測した。

他の言語は?

 SwiftとObjective-Cは、Appleコミュニティーにとって重要な言語だが、アクティブ開発者数は停滞している。RubyとLuaも開発者数の伸びは鈍い。

 SlashDataは調査結果を次のようにまとめた。

 「古くて人気の高いプログラミング言語には目立つ批判があり、新しい刺激的な言語には熱烈な支持者が多い。今回の調査結果は、新しい言語がニッチを抜け出して成長し、次の大物へと変化することは難しいと示唆している」

 今回のレポートを2019年4月11日に発表するに当たって、SlashDataは2018年11月〜2019年2月の期間、世界165カ国から1万9000人以上の回答を得た。調査時に用いた言語は英語やスペイン語、中国語、日本語など8言語に及ぶ。調査ではモバイルやデスクトップ、IoT、クラウド、Web、ゲーム、AR/VR、データサイエンス/機械学習についても調べている。

 同レポートはアクティブなソフトウェア開発者数を明示するという点で他の調査とは異なるという。オランダTIOBEやRedmonk、Stack Overflowの年次調査、GitHubのOctoverseなど開発者の規模を公開している他のソースでは多くの場合、言語間の相対的な比較しか提供されていないからだ。このような調査では各コミュニティーの絶対数が分からず、地理的な偏りや、ソフトウェア開発分野の偏り、オープンソース開発者への偏りを除去できていない可能性があるとした。

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