老後のために2000万円貯蓄しないといけないだって? エンジニアなら2年でそんなのためてみせますよ。
@ITが運営するコラム(ブログ)コーナー「エンジニアライフ」では、現役エンジニアたちが日々、思うこと、考えたことをポストしています。
本稿は、エンジニアライフにポストされたコラム(ブログ)や小説の中から印象的なものを、(編)の独断と偏見でピックアップして振り返ります。2019年6月〜7月初旬は「老後2000万円不足問題」が盛り上がりました。
2019年6月、金融庁が公表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書が、大きな注目を集めました。「年金給付だけでは老後の生活が困難」であり、その額が「2000万円」(無職夫婦の場合)とのこと。
「年金払っているのに足りないってどういこと?」「2000万円なんて無理」などの声がネット内外にあふれた「老後2000万円不足問題」について、時事問題にビンカン☆なエンジニアライフコラムニストたちもさまざまな視点で考察をしました
還暦を迎える人の平均貯蓄額は2900万円 ただし67%が2000万円以下(ITmediaビジネスONLINE)
せやろがいおじさん「老後2000万円」に物申ーす! 金融庁にツッコミ(ITmediaビジネスONLINE)
60歳の貯蓄額は「平均2956万円」 一方で4人に1人が「100万円未満」の格差(ねとらぼ)
イメージで語られがちな「2000万円」の内容を分かりやすく解説してくれたのは、「サーチマン佐藤のコラム」のサーチマン佐藤さん。「老後資金2000万円の元資料と、老後SEの生き方。」で、下記のように2000万円の根拠を説明し、
65歳以降の平均支出が月25万円に対して、年金だけの平均収入が月20万円。
その差が、月に約5万円。
平均寿命が延びて仮に95歳まで生きれば、65歳からの30年間でその差が合計約2000万円になる。
65歳以降も生き抜くためにはどうすればいいのかを、極シンプルに記しました。
65歳時点で貯金がないなら、月20万円の節約生活すればいいし、節約がいやなら、ためておくか、稼げばいい。
節約すれば、何とかなるんですね。ホッとしました。
老後の節約だけでは何とかならない人もいるようです。
「65歳以降の平均支出が月25万円」の内訳をさらに詳しく、そして“一部のエンジニア”にとって恐怖の事実を説明したのは「守銭奴エンジニアが考えていること」の手塚規雄さん。
手塚さんは「フリーランスの場合は老後に必要な貯蓄は4883万円必要って知っている?」の中で、金融庁が発表した資料のデータは「厚生年金」をもらうことを前提としたもので、「国民年金」しか払っていない「フリーランスエンジニア」は、2000万円では“詰む”ことを、下記のように記しました。
「実際に支給されている国民年金の平均月額は5万5千円、厚生年金は14万7千円」を参考にすると、国民年金の平均受給額は5万5615円とのことです。これを夫婦でもらった場合は11万1230円。
先ほどの社会保険は19万1880円であり、差額が8万0650円もあります。
さらに8万円も足りないということです。
1カ月当たりのマイナス分8万円を「95歳まで生きた」として計算すると、
1カ月当たりの赤字約13万5650円、年額162万7800円、30年で4883万4000円
恐ろしい数字が出ました。
さらに追い打ちをかけるような事実もあります。
手塚さんコラムの「月25万円の内訳」をよく見ると、支出に「家賃」がないことが分かります。つまり金融庁の「2000万円(フリーランスは4883万円)足りない」は「持ち家」前提なのです。
2000万円の貯金がないのに家なんか持っているわけないだろう……というのはさておき、「特定のクラスタの人は家を買っておいた方がいいよ」というのは「吉政忠志の考える。行動する。改善する。」の吉政忠志さんです。
「生涯独身者、子どもがいないひとは家を買おう。老人になった時に家が借りれなくなることも」によると、
生涯独身や、結婚していても子どもがいない場合、賃貸だと保証していくれる人が見つかりにくく、家を借りにくくなります。(中略)家が借りられなくなると、老人ホームレスになります。
ぎゃー!
何も悪いことはしていないのに、独身だというだけでホームレスになる(かもしれない)そうですよ。頑張って生きてきたのに、何という仕打ち!
とTwitterでつぶやいてみたら、続く「老後のためにお金が少なくても家を買う方法」で、「中古戸建やマンションの頭金は、購入金額の0%〜なのでフルローンが可能)」との情報を追加してくれました。なお、
購入と同時に生命保険に入るので、万が一自分が死んでも、家のローンは完済される
とのこと。せちがらいのう。
「貯金よりも、持ち家よりも不労所得を得る方がよかろう」と持論を展開するのは、「ヒエログリフ -エンジニア版-」のHorusさん。
「老後に2000万円あっても変わらない」で、「インフレが起きたら貯金の価値が落ちるので、2000万円ためてもあまり意味がない」と、貯金があっても安泰ではないことを説明し、
今までの歳をとったら退職して隠居生活というライフプランを踏襲するのを止めるべきです。
と、「隠居しない」という選択肢を示しました。
「隠居しないで、65歳以降も“プログラマとして”働きたいんだ」と希望をつづるのは、「プログラマで、生きている」のひでみさん。
「貯蓄が足りないならプログラマやめなければいいじゃない!ってかなり本気!」の中で、
65歳までに4883万の貯蓄、は無理だと思いますけど、65歳の私は、ゆとりある老後のための貯蓄より、仕事を続けるためのスキルを残してもらった方が喜ぶと思います。
貯蓄よりも頼りになる「残すべきもの」を示します。昭和〜平成〜令和をプログラマーとして駆け抜けてきたひでみさんですもの、きっと65歳になっても、100歳になっても、プログラマーとして活躍し続けると思います。
逆に「いやー、いつまで働けるか自信ないっす」と正直な気持ちを吐露したのは、前述の手塚さん。「定年後でもフリーランスなら働けるから、貯蓄の心配はない!って本気!?」の中で、働き続けられなくなる「可能性」を3つリストアップしました。
1:健康上のリスク
2:その仕事、ずっと好きでいられますか?
3:そもそもその仕事、あると思う?
1つ目の「健康」は誰もが思い付くし、心配でもあることですが、2つ目3つ目は盲点でした。(編)の友人は、独身&貯金なし&フリーランス&持ち家なしが多いので、一生働き続けないとならんのです。「1」と「2」は自分でも気を付けられますが、「3」は危険だなあ。
「可能性や意気込みはいいとして、現実はどうよ」という疑問にお答えするのは、同じく前述のサーチマン佐藤さん。「まずは定期便を見よう。老後SEも稼いでいます。」の後半部分で、60歳以上のエンジニアの生声を掲載しています。例えば、
現在63歳ですが、今もCOBOLプログラマーとして仕事をしている個人事業主です。
他にも複数人の「60歳過ぎても働いている」方の声が載っています。興味深いのは「生活のため」というよりも「自分のため」に働いている人が多いこと。仕事ってお金以外の側面もありますからね。
老後は隠居したい、そのために2000万円を今から準備したい(でも今は貯蓄ゼロ)、という方は、2000万円ためるまでに何年かかるのでしょうか?
@ITの記事「RPA関連技術者へのニーズが急増、最高提示年収は3000万円――ビズリーチが調査」によると、
「RPAコンサルタント」を含む求人数は、同6.0倍の698件で、最高提示年収は3000万円。BPO(Business Process Outsourcing)を加えて調べてみると、「RPA BPO」が含まれる求人数は、同5.3倍の192件で、最高提示年収は3000万円だった。
とのことです。RPAコンサルタントやRPA BPOになって最高年収で働いたら、年収3000万円。税金で半分持っていかれるとして、1年の手取りが1500万円。500万円で生活して1000万円貯金したら、あーら2年で2000万円たまっちゃう。みんなRPAの勉強しようぜ!
そんな、うまくいくわけないですよね……。
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