「老害」「キラキラミドル」あなたはどっち?――40、50代エンジニアに必要な「能力観」田中淳子の“言葉のチカラ”(28)(1/2 ページ)

ベテランだから、もう成長しなくていいよね?――人材育成歴30年の田中淳子さんが、職業人生の節目節目で受け取ってきた言葉たちを紹介する本連載。今回は、ミドル世代エンジニアが持つべき考え方を指南する。

» 2016年03月14日 05時00分 公開
[田中淳子@IT]
田中淳子の“言葉のチカラ”
「田中淳子の“言葉のチカラ”」

連載目次

 人材育成歴30年の田中淳子さんが、人生の先輩たちから頂いた言葉の数々。時に励まし、時に慰め、時に彼女を勇気付けてきた言葉をエンジニアの皆さんにもお裾分けする本連載。

 前回は、やりたいことがあるのに行動に移せない人が「最初にすべきこと」を伝授した。今回は、社内で年下部下たちから煙たがられているミドル世代のエンジニアたちへの応援歌だ。

 人は、年齢と共に頑固になりがちだ。

 経験があるのは良いことだが、それにしばられてやり方を変えることに抵抗を覚える――いわゆる「Unlearn(アンラーン:過去に学習したことを捨てたり見直したりすること)」ができなくなるのである。

 IT企業の多くでは年功序列制が崩れ、年上の部下を持つ若手が少なくない。研修講師という仕事柄、若手ITエンジニアと話す機会が多い筆者は、彼らから「年上の部下」についての悩みを聞かされることが増えてきた。

 共通項は「扱いづらい!」である。

好きなことしかしない「老害」エンジニアたち

 先日、ある30代のマネジャーに「年上部下」について愚痴られた。

 「アサインした仕事はきちんとやってくれるのですが、勤怠がめちゃくちゃでマイペースなんです。いつ、どこにいるのか誰にも分からない。何度注意しても、事前にひと言も言わずに出かけてしまうし、出先を共有しようともしない。とにかく行動がフリーダム過ぎるんです!」

 別のリーダーはこんな悩みを打ち明けてくれた。

 「線引きがスゴいんですよ。『それは私の仕事ではない』と言って、絶対に動いてくれない。中でも『誰かに技術を教える』といった他者と関わることを嫌がるベテランエンジニアが厄介で。技術力を伝承してこその年長者だと、私は思うんですけれど」

 問題ベテランたちの年齢を尋ねると、40代後半〜50代が多い。50代の私は、同年代についての「クレーム」を聞くと、思わず「中高年を代表して、おわびします」という気持ちになってしまう。

 毎週のように「年上部下が扱いづらい」「中年エンジニアが好きな仕事しかしてくれない」などの相談を若手から受けて、「40〜50代は、もうダメなのだろうか」と思うようになっていた。

 ところが、だ。ある日、考えを改める出来事があった。

「それは、私の仕事ではありませんねえ」
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