Google Cloud、“VMware Cloud on Google Cloud Platform”の年内提供開始を発表「Google Cloud VMware Solution by CloudSimple」

Google Cloudは2019年7月30日(米国時間)、VMware Cloud FoundationのGoogle Cloud Platform(以下、GCP)上での提供を発表した。提供開始時期は2019年中という。米国の一部メディアによる報道が先行していたが、正式発表は日本時間の午後9時に行われた。

» 2019年07月30日 21時15分 公開
[三木泉@IT]

 Google Cloudは2019年7月30日(米国時間)、VMware Cloud FoundationのGoogle Cloud Platform(以下、GCP)上での提供を発表した。提供開始時期は2019年中という。米国の一部メディアによる報道が先行していたが、正式発表は日本時間の午後9時に行われた

 これは、VMware vSphere、VMware vSAN、VMware NSXなどから成るVMware Cloud Foundationを、GCPのベアメタルサーバ上に導入し、各ユーザー組織専用のプライベートクラウドが構築できるサービス。大まかにいえば「VMware Cloud on AWS」に似ているが、運用形態はMicrosoft Azure上でVMware Cloud Foundation の構築と運用を行う「Azure VMware Solutions」に近い。

 新サービスの名称は「Google Cloud VMware Solution by CloudSimple」。CloudSimpleという企業との協力で、Google CloudがGoogle Cloud Marketplaceを通じて提供する。VMwareは提供主体として加わっておらず、サポートについてもGoogle CloudがCloudSimpleとの連携で提供する。

 とはいえ、新サービスはVMwareとの提携に基づいている。VMwareのCOO(最高執行責任者)であるサンジェイ・プーネン氏は、「VMware on Google Cloud Platformにより、顧客は慣れ親しんだVMwareのツールやトレーニングへの投資を生かす形で、クラウド戦略を遂行でき、新サービスを迅速に市場へ投入すると共に、ハイブリッドクラウド環境上で、シームレスかつより安全に運用できる」とのコメントを寄せている。

[2018/7/31 07:10追記]

 Google Cloudにとって、今回の発表はVMware vSphereを活用するユーザー組織にとってのハイブリッド/マルチクラウドの選択肢を増やす意味がある。

 Google Cloudはマルチクラウド/ハイブリッドKubernetes運用サービスの「Anthos」を本格展開し始めているが、同サービスにおけるオンプレミス側のデフォルトプラットフォームはVMware vSphereだ。従って、多くの企業は、コンテナについてはオンプレミスとGCP、さらには他のパブリッククラウドを含めたマルチクラウドの実現に、Anthosを活用できる。ちなみにGoogle Cloud CEO(最高経営責任者)のトマス・キュリアン氏は、筆者によるインタビューで、「Anthosを構成する技術は100%オープンソースソフトウェア(OSS)です。AWSはマルチクラウドを実現するサービスを提供していません。また、彼らの技術はオープンソースとして利用できません」と答えている。

 だが、Anthosではコンテナレベルではあっても、仮想マシンレベルでのハイブリッド/マルチクラウドを実現できない。ユーザー組織が今回のVMware Cloud on GCPを活用すれば、オンプレミスのvSphereとGCP上のvSphereで、同一のアプリケーションを稼働できる。このため、既存のシステムをとりあえず改変することなく、フロントエンドに近いところで動かしたい、オンプレミスデータセンターの段階的な撤廃を図りたい、などのニーズに対応する新たな選択肢が得られる。

 もちろん、VMware Cloud on GCP上でのAnthosの利用も理屈としては可能だ。その意味では、Anthosの利用における選択肢も広がったと表現することができる。

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