Microsoft、Excel関数「XLOOKUP」を発表、「VLOOKUP」の後継VLOOKUPの制約を克服

Microsoftは、新しいExcel関数「XLOOKUP」を発表し、β版を提供開始した。「VLOOKUP」や「HLOOKUP」の後継となる関数だ。併せて「XMATCH」関数も発表した。

» 2019年09月04日 14時30分 公開
[@IT]

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 Microsoftは2019年8月28日(米国時間)、「VLOOKUP」関数の後継となる新しいExcel関数「XLOOKUP」を発表し、「Office Insider」プログラムの参加者にβ版の提供を開始した。今後数カ月間、最適化を行うという。

 VLOOKUPの歴史は長い。1985年にリリースされた「Excel 1 for Macintosh」に含まれている関数であり、Microsoftによれば現在でも「SUM」「AVERAGE」に次いで3番目によく使われているという。

 XLOOKUPは垂直(Vertical)方向に検索(Look Up)するVLOOKUPと、水平(Horizontal)方向に検索(Look Up)する「HLOOKUP」を兼ねた働きを持つ。つまり垂直と水平の両方向に検索する関数だ。

 最も簡単な検索形式では、3つの引数を取り、その場合、最もよく使われる完全一致検索を実行できる。このとき、必要な引数の個数がVLOOKUPより1つ少ない。

XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 戻り値の配列)

  • 検索値:何を検索するか
  • 検索範囲:どの範囲を検索するか
  • 戻り値の配列:何を返すか(VLOOKUPとは異なり、複数の項目を含む配列を返すことができる)

XLOOKUP関数を使っているところ(クリックで拡大、出典:Microsoft

XLOOKUPで高度な検索を行うには

 XLOOKUPで高度な検索を行うには、第4引数(一致モード)と第5引数(検索モード)を使う。構文は次のようになる。

XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 戻り値の配列, [一致モード], [検索モード])


 一致モードでは、どのように一致するのかを指定できる。オプションは次の通り。

  • 0:完全一致(デフォルト)
  • -1:完全一致または検索値の次に小さい項目
  • 1:完全一致または検索値の次に大きい項目
  • 2:ワイルドカード一致。「?」は、任意の1文字と一致し、「*」は、任意の数の文字と一致する

 検索モードでは、検索の種類と方向を指定できる。オプションは次の通り。

  • 1:昇順に検索する
  • -1:降順に検索する
  • 2:昇順に並べ替えられたデータを二分探索する
  • -2:降順に並べ替えられたデータを二分探索する

なぜXLOOKUPを発表したのか

 Microsoftは、今回の発表について次のように説明している。

 「VLOOKUPは広く使われてきたが、次のようなよく知られた制約がある。XLOOKUPはこれらの制約を克服した」

  • デフォルトが完全一致ではなく“近似”一致である(第4引数を明示的に「FALSE」に設定する必要がある)
  • 列の挿入/削除をサポートしていない(第3引数の数値をユーザーが適切に増減する必要がある)
  • 検索対象列が検索範囲の一番左であるため、さらに左の列の値を返すことができない(元データをユーザーが並べ替える必要がある)
  • 降順に検索できない(ユーザーが元データの並び順を逆にしなければならない)
  • 次に大きな項目を検索できない
  • 必要以上に多くのセルを参照する

 MicrosoftはVLOOKUPとHLOOKUPを、Excelで引き続きサポートする。だが、これらの代わりにXLOOKUPを使うことを強く推奨している。XLOOKUPはより使いやすく、先述したような制約がないからだ。

XMATCH関数を併せて発表

 MicrosoftはXLOOKUPとともに、「MATCH」関数の後継となる「XMATCH」関数も発表した。β版提供と一般公開のスケジュールはXLOOKUPと同じ。

 XMATCHは、以下のようにXLOOKUPと同様の引数を取り、一致した項目のインデックスを返す。

XMATCH(検索値, 検索範囲, [一致モード], [検索モード])


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