Windows 10バージョン1903の新機能の1つに、「更新プログラムのロールアップの機能強化」があります。この機能がどのように働くのか、そして管理者にとってどのような利点があるのか紹介します。
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「Windows 10」の品質更新プログラムのインストールや、Windows Update経由でのデバイスドライバやファームウェアの更新では、通常、更新を完了するためにPCの再起動が要求されます。しかし、これら更新プログラムの不具合が原因で、起動時にエラーが発生したり、PCが正常起動しなくなったりすることもあります。
起動エラーに陥った状態から回復するには、これまではPCのユーザー(個人の場合)やIT管理者(企業や組織の場合)がマニュアルで何らかの対応(更新プログラムやデバイスドライバのアンインストールなど)をする必要がありました。そして、その対応はWindowsに詳しくない一般ユーザーには極めて難しい作業でした。
Windows 10 バージョン1903からは「更新プログラムのロールアップの機能強化」により、品質更新プログラムやドライバを起因とした起動エラーから、システムを自動修復できる可能性が増えました。
具体的には、起動エラーが発生すると自動修復機能がPCを診断し、起動エラーの原因と考えられる最後にインストールされた品質更新プログラムやドライバを自動的にアンインストールして更新前の状態にロールバックし、Windowsの正常起動を可能にします。
従来、更新プログラムのインストールを完了するための再起動中に、更新プログラムのインストールに問題が発生した場合は自動的にロールバックする機能がありました。Windows 10 バージョン1903は、更新プログラムのインストール処理の問題だけでなく、起動エラーをきっかけにロールバックを開始します。Windows 10 バージョン1903からの起動エラー後の画面遷移を以下の画面1に示します。
Windows 10 バージョン1809以前は自動修復処理の中に、更新プログラムのアンインストールとその後の通常起動の処理は含まれません。Windows 10 バージョン1809以前で起動エラーを修復できない場合は、後で登場する「再起動」と「詳細オプション」ボタンのある画面が表示されます。ユーザーやIT管理者は「詳細オプション」をクリックして、「Windows回復環境(Windows Recovery Environment、WinRE)」を使用するなどして、マニュアルで対応する必要がありました。
意図的に更新プログラムのインストール後の起動エラーを再現させ、更新プログラムのロールバックの挙動を確認してみました。
以下の画面2は、Windows 10 バージョン1903向けに提供された2019年8月の2度目の品質更新プログラム「KB4512941(ビルド18362.329)」をインストールし、再起動待ちの状態です。PCの再起動を要求する更新プログラムが再起動待ちになっている場合、スタートメニューやタスクバー上のWindows Updateアイコンに“色付きのドット(点)”が表示されるようになったのも、Windows 10 バージョン1903からの新機能です。
この状態から再起動を開始し、PCの起動直後のところで意図的に電源を2回連続リセットしてみます。これで、自動修復の処理が始まります。Windows 10 バージョン1809以前は、前述のように最終的に「再起動」と「詳細オプション」ボタンのある画面が表示されるのですが、Windows 10 バージョン1903からは挙動が異なります。
「修復しようとしています」の状態が長く続き、その後、Windowsの起動が自動的に続行され、更新プログラムのインストールを元に戻す処理が行われ、更新プログラムのインストール前のビルド(18362.295)で起動しました(画面3)。
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