Oracleが発表した「職場におけるAI(人工知能)」に関する調査結果によると、「マネジャーよりもロボットを信頼する」と回答した割合は64%。特にインドと中国でAIに好意的だった。
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Oracleは2019年10月16日、「職場におけるAI(人工知能)」に関する調査結果を発表した。従業員やマネジャー、人事部門リーダーの合計8370人を対象に、米国、英国、フランス、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)、ブラジル、日本で実施した。同社は調査結果から、AIは職場での人と技術の関係や、人事チームとマネジャーが果たすべき役割を変えていることが分かったとしている。
職場でのAI活用について聞いたところ、何らかの形でAIを利用していると回答した従業員の割合は50%で、2019年の32%から大幅に増加した。特に中国(77%)とインド(78%)で利用率が高く、フランス(32%)と日本(29%)は低かった。
AIの導入に最も好意的だったのはインドで、60%の従業員が賛同した。次いで、中国(56%)、UAE(44%)、シンガポール(41%)、ブラジル(32%)、オーストラリア/ニュージーランド(26%)、日本(25%)、米国(22%)、英国(20%)、フランス(8%)の順だった。
男女別では、AIに対して楽観的だと回答した割合は男性が32%、女性が23%だった。
職場にAIが浸透すると、従業員とマネジャーとの関係に影響を与えるようだ。今回の調査では「マネジャーよりもロボットを信頼する」と回答した割合は64%で、半数はマネジャーよりもロボットにアドバイスを求めるとしている。さらに、マネジャーよりもロボットの方が物事をうまくこなすと考えている割合は82%に上った。
マネジャーよりもロボットを最も信頼しているのはインド(89%)。次いで、中国(88%)、シンガポール(83%)、ブラジル(78%)、日本(76%)、UAE(74%)、オーストラリア/ニュージーランド(58%)、米国(57%)、フランス(56%)、英国(54%)の順だった。
ロボットがマネジャーより優れている点としては、偏見のない情報の提供(36%)、作業スケジュールの維持(34%)、問題解決(29%)、予算管理(26%)という回答が挙がった。これに対してマネジャーがロボットよりも優れている点については、従業員の感情の理解(45%)、従業員の指導(33%)、職場文化の創出(29%)といった回答が寄せられた。
次に、職場でのAIの利用について聞いた。その結果、従業員は、AIに対して簡単な操作性を求めていることが分かった。具体的には、より優れたユーザーインタフェースを求めると回答した割合は34%、ベストプラクティストレーニングを求めている割合は30%、行動に合わせてパーソナライズされたエクスペリエンスは30%だった。
一方、職場でのAI利用を敬遠する理由として多かったのは、セキュリティ(31%)とプライバシー(30%)だった。この傾向は若い世代ほど顕著で、職場でのプライバシーやセキュリティを懸念すると回答した割合は、ジェネレーションZ(1997年以降に生まれた人口層)が43%、ミレニアル(1981〜96年に生まれた人口層)が45%だったのに対して、ジェネレーションX(1960年代半ば〜70年代に生まれた人口層)は29%、ベビーブーマー(1946年〜1960年代半ばに生まれた人口層)は23%だった。
Oracleで人材管理クラウド・ビジネス・グループ担当シニア・バイスプレジデントを務めるEmily He氏は、「機械学習と人工知能に関する技術が急速に進歩し、人々が技術やチームとやりとりする方法が大きく変化している。職場では、人間と機械の関係が見直されており、この課題にうまく対応できる汎用(はんよう)的なアプローチは存在しないことが、今回の調査で分かった。企業は、人事部門と連携して職場にAIを導入するアプローチをパーソナライズする必要がある」と述べている。
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