ノークリサーチは、中堅中小企業を対象としたコラボレーションツールの市場動向に関する調査レポートを発表した。従来のグループウェアとは異なり、システム連携や社外との情報共有など、ユーザー企業の意識の変化がうかがえる。
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ノークリサーチは2019年10月28日、年商500億円未満の中堅中小企業を対象としたコラボレーションツールの市場動向に関する調査レポート「2019年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」を発表した。同社は「グループウェアやビジネスチャットを含む社内外のコミュニケーションと情報共有を担うアプリケーション」をコラボレーションツールと定義している。
導入済みのコラボレーションツールを調べると、回答割合が多かった順に「Microsoft Office 365」(36.8%、複数回答)、「サイボウズ Office」(24.8%)、「サイボウズ ガルーン」(17.1%)、「desknet's NEO」(15.4%)、「G Suite」(11.1%)だった。「Microsoft Teams」(7.7%)や「Chatwork」(6.8%)、「LINE WORKS」(4.3%)など、ビジネスチャット製品を導入している企業も目に付いた。
それぞれのコラボレーションツールの導入割合について年次経過を見ると、ノークリサーチでは次の4タイプに分けられるとしている。
クラウド形態の割合が相対的に高く、2019年の導入割合が2018年よりも高い製品群。例えば、Microsoft Office 365やサイボウズ Office、サイボウズ ガルーン、desknet's NEO、G Suiteなど、全体に見ても導入割合が高い製品が占めている。
クラウド形態の割合が相対的に高く、2019年の導入割合が2018年とほぼ変わらない製品群。「アルファオフィス」や「J-MOTTO」などだ。
オンプレミスの割合が相対的に高く、2019年の導入割合が2018年と同等か高い製品群で、「IBM Notes/Domino」や「eValueNS/V」「Microsoft Exchange Server」がこれに当たる。
オンプレミスの割合が相対的に高く、2019年の導入割合が2018年より低いもの。「StarOffice/OfficeForce」や「Groupmax」「TeamWARE」などだ。
このうちタイプ4は、NECや日立製作所、富士通といった国産ベンダーの製品が占めている。ノークリサーチでは、最近は積極的な拡販施策や機能強化がないのに加え、3社のいずれもMicrosoft Office 365を取り扱っており、こうした大手国産ベンダーの動向もMicrosoft Office 365が導入社数シェアを大きく伸ばしている要因の1つだと分析している。
コラボレーションツールを利用した上で「評価/満足している機能や特徴」や「現時点で抱えている課題」を調べ、従来のグループウェアとコラボレーションツールとの違いを分析した。
抱えている課題として多く挙がった回答は、「既存の基幹系システム(ERP/会計/販売など)と連携できない」(19.7%、複数回答)や「独自アプリケーションをユーザー自身で作成できない」(20.5%)、「社外(顧客や取引先)と情報を共有できない」(20.5%)だった。これらの結果からノークリサーチは、コラボレーションツールに対して従来のグループウェアとしての細かい機能改善よりも、社内から社外へ、あるいはグループウェアからグループウェア以外のシステムへ、といった意識の変化がうかがえるとしている。
一方、コラボレーションツールに対して満足している点としては、「既存の基幹系システムと連携できる」や「独自のアプリケーションをユーザー自身で作成できる」「働き方改革に沿った取り組みを支援または実践できる」「社外(顧客や取引先)と情報を共有できる」「テレワークを支援または実践できる」といった回答が寄せられた。
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