Gartnerは、100以上のAI導入事例を収集し、これらの事例で挙げられている主な効果を調べた。デジタルビジネスのリーダーは、AIプロジェクトの投資対効果(ROI)の最大化に向けて、プロジェクトの効果の特定と定量化という課題をクリアする必要がある。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
人工知能(AI)プロジェクトの効果の特定は難しく、一筋縄ではいかないが、ますます重要になっている。2024年までに、AI投資の50%は特定の重要業績指標(KPI)と関連付けられ、効果が定量化される見通しとなっている。投資対効果(ROI)を測定するためだ。
企業はまず、Gartnerに、AIの導入によって期待できる効果を聞いてくることが多い。そこでGartnerは、2019年半ばまでの18カ月間に、40近くの業種から100以上のAI導入事例を収集し、これらの事例で挙げられている主な効果を調べた。AI導入を成功させるには、有形の効果と無形の効果の両方を考慮し、それらを適切に定量化できる方法を決める必要がある。
当然のことながら、こうした事例で挙げられている主な効果は、2030年までAIによって生み出されるビジネス価値の主な源泉とほぼ一致している。それは、コスト削減と顧客エクスペリエンスだ。
リスク軽減のためのAI投資のように、AI投資の中には、明らかに価値が高いにもかかわらず定量化しにくいものもある。効果を定義する際、リーダーは個々の効果と関連するビジネスKPIを明確に対応付けなければならない。効果をどのように測定するかは、効果の定義における重要な要素だ。Gartnerは、AIプロジェクトの展開前にKPIをベースラインとして算出し、プロジェクトの完了後にKPIを再算出してベースラインと比較することで、プロジェクトの効果を測定することを勧めている。
AIプロジェクトは多様であり、プロジェクトによって効果はさまざまに異なる。個々のAIプロジェクトごとに効果の源泉や種類に応じて、最適な方法で効果を測定する必要がある。そうすることで、プロジェクトの効果的な優先順位付けや正当化が可能になる。
出典:Top 3 Benefits of AI Projects(Smarter with Gartner)
Manager, Public Relations
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