情報セキュリティの啓発を目指した、技術系コメディー自主制作アニメ「こうしす!」の@ITバージョン。クリスマススペシャル&さよならセブン特別列車、第3弾です。※このマンガはフィクションです。
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ここは姫路と京都を結ぶ中堅私鉄、京姫鉄道株式会社。
その情報システム(鉄道システムを除く)の管理を一手に引き受ける広報部システム課は、いつもセキュリティトラブルにてんてこ舞い。うわーん、アカネちゃーん。
「こうしす!」制作参加スタッフが、@IT読者にお届けするセキュリティ啓発4コマ漫画。
Windows 8以降、CPUが以下の機能に対応していなければ、OSのインストールも起動もできないようになりました。
筆者もIntel Pentium III搭載PCにWindows 8のインストールを試みたことがありましたが、エラーメッセージが表示されるだけでした。インストールできないだけでなく、起動もできません。インストール済みのイメージをHDDに展開しても起動しないからです。
古いけどまだまだ使えます……だったPCは、ついにお役ごめんになったのでした。
このはた迷惑なNXbit必須化の理由は何でしょうか。
答えはセキュリティ対策です。NXbit/XDbitは、バッファオーバーフロー攻撃などを防ぐための技術です。メインメモリ上のデータが記録されている領域からプログラムのコードが実行されないようにするために用いられます。
通常、メインメモリには、プログラムのコードと、プログラムが処理するデータが一時的に記録されます。もしプログラムへ入力するデータに、「悪いことをするコード」を仕込めば、そのデータがメインメモリ上に記録されることになります。
しかし、プログラムは、データはデータとして扱っていますから、入力データに「悪いことをするコード」が含まれていても、「悪いことをするコード」が直ちに実行されることはありません。
とはいえ、メインメモリ上にあるものは基本的に「ここにあるコードを実行しろ」と命令されればいつでも実行されてしまう状態にあります。バッファオーバーフロー攻撃などにより「データ領域にある、この部分のコードを実行しろ」という命令が実行されると、データ領域にある「悪いことをするコード」も実行されてしまうことになります。
「データが記録されている領域からプログラムが実行される」というのはこのようなことをいいます。
そこで、「ここはデータ領域なのだから、仮にコードがあっても実行しないで」というようにあらかじめ設定しておけるのが、NXbit/XDbitの機能です。これにより、万が一「データ領域にある、この部分のコードを実行しろ」という命令を受けても実行されないようにできます。
詳細について興味をお持ちの方は、IPAの資料「セキュアプログラミング講座 C/C++言語編 第10章 著名な脆弱性対策 バッファオーバーフロー:#5 運用環境における防御」などを参照してください。
なお、IntelのCPUでは、Pentium 4シリーズの一部からNXbit/XDbitに対応しています。従って、Intel Pentium III搭載PCでは、Windows 8以降をインストールできなかったのです。
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フリーイラストレーター。アニメ「こうしす!」ではキャラクターデザイン・キャラ作画担当をしています。
アニメ「こうしす!」監督、脚本。情報処理安全確保支援士。プログラマーの本業の傍ら、セキュリティ普及啓発活動を行う。
「こうしす!社内SE 祝園アカネの情報セキュリティ事件簿」(翔泳社)2020年2月発売予定
「物語の力でIT、セキュリティをもっと面白く」をモットーに、作品制作を行っています。
オープンソースなアニメを作ろうというプロジェクト。現在はアニメ「こうしす!」を制作中。
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