Google、「Chrome 80」で導入した新しいCookie分類システムについて解説Cookieをデフォルトで安全な状態に

Googleは、2020年2月4日にリリースされた「Google Chrome 80」ブラウザについて注意喚起を行った。新しいCookie分類システムの導入が始まったからだ。Cookieの設定を変更しないと、不具合が発生する可能性がある。

» 2020年02月06日 10時00分 公開
[@IT]

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 Googleは2020年2月3日(米国時間)、「Google Chrome」ブラウザで導入された新しいCookie分類システムについて、Cookieを管理している開発者などに向けて情報を提供し、注意事項を解説した。

 新しいCookie分類システムは、Cookieによるプライバシーやセキュリティの問題が生じにくいように、デフォルトで安全な状態にするもの。2020年2月4日の「Chrome 80」安定版のリリースに伴って導入が始まった。

 このCookie分類システムでは、SameSite値が宣言されていないCookieは、「SameSite=Lax」として扱われる。これまではこの設定を採っていないCookieが少なくなった。今後は「SameSite=None; Secure」設定となっているCookieのみが、サードパーティーコンテキストでアクセス可能になる。つまりWebサイトをまたいでCookieが利用できるようになる。ただし、HTTPS接続でアクセスされることが条件だ。

 Googleは2019年5月に今回の変更について最初の発表を行い、開発者向けガイダンスを公開している。さらに2019年10月には、注意喚起を行っている。

 Chrome 80安定版での新しいCookie分類システムの導入は段階を踏んで進めていく計画だ。2月後半から少数のユーザー向けに始まり、徐々に対象ユーザーを広げていく。「SameSite Updates」ページに導入時期と状況についての告知がある。

デベロッパーツールコンソールで警告が表示されたらどうするか

 必要な設定が行われていないクロスサイトCookieがWebページに含まれていると、Chrome 80のデベロッパーツールコンソールは警告を表示する。

 開発者がデベロッパーツールで自社のWebサイトを見ているときに、この警告が表示された場合、Webサイトの機能をサポートするCookieの構成が適切ではない可能性がある。

 デベロッパーツールの警告の例を以下に示す。これはChrome 80の場合だが、Chrome 77以降も同様の警告を表示する。

デベロッパーツールコンソールに表示された警告の例(出典:Google

 ただし、例外がある。サービスがCookieの冗長ペア(新しい設定のCookieと、非互換クライアント向けのレガシー設定のCookie)を発行した場合だ。この場合、サービスが意図された通りに機能していても、レガシーCookieに起因する警告が表示される場合がある。

 一部のGoogleサービスはこのアプローチを取り、新しい設定のCookieとレガシー設定のCookieを発行する。このため、Googleサービスが意図通りに機能していても、デベロッパーツールコンソールに警告が表示される可能性がある。

移行の一時的影響とサインオンフローの緩和策の導入

 あるユーザーがChrome 80にアップデートする直前に、クロスサイトCookieのプロバイダーがCookieを更新した場合には一時的な問題が発生する。Chrome 80を使用する既知のユーザーや再訪ユーザーは、Cookieが新しい設定で更新されるまで、一時的に未知のユーザーや新規ユーザーと見なされる可能性がある。Cookieを前もって更新していたプロバイダーであれば、この影響に気付く可能性は低そうだ。ユーザーが新しい設定のCookieを受け取る時間が長いからだ。

 認証プロセス中にWebサイトとサードパーティープロバイダーの間でCookieが受け渡されるときに、ユーザーのサインオンエクスペリエンスが損なわれる可能性がある。そこでChromeでは「Lax + POST」という一時的な緩和策を導入した。これによってSameSite設定が指定されていないCookieであっても、サインオンフローで通常使われるトップレベルクロスサイトPOSTリクエストで2分以内に利用できるようにした。

テストとトラブルシューティングを進めなければならない

 サインオンなどのサービスや社内アプリケーションがChrome 80の変更に対応していない場合、企業の管理者は特別なポリシーを実装して、Chrome Webブラウザを一時的に以前の挙動に戻す必要があるかもしれない。

 Googleは、新しいCookie分類システムの下で、Webサイトやサービスがどのような挙動を示すかを調べるために、Chrome 76以降をテストすることを強く勧めている。具体的には試験運用版の機能を試すための「SameSite by default cookies」と「Cookies without SameSite must be secure」と呼ばれる実験的なフラグを有効にする(フラグは、「chrome://flags」で有効にする)。

 新しいCookie分類システムは、Chrome 80以降、徐々に導入されていくため、テストする際は、Chrome 80でもフラグを有効にし、新しいデフォルト設定を反映させる必要がある。

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