「シリコンバレーのITエンジニアが、日本の何倍もの高額な給料を得ている」は、よく聞く話です。
単純に比較はできませんが、事実です。年収は、平均するとだいたい日本の2〜3倍ぐらい。つまり日本で年収400万円レベルの若手ITエンジニアなら1000万円、800万円のリーダークラスなら2000万円といったところです。
ごく普通のスキルさえあれば新卒でも1000万円、経験を積んだリーダークラスのエンジニアになれば2000万円、最先端の技術を持った限られたエンジニアになると3000万円以上にもなります。
シリコンバレーには世界中のIT企業が集中しているので、ITエンジニアが常に不足しています。少しでも高い給料を支払わなければ他の会社へ転職してしまうので、ITエンジニアの年収は年々増えていっています。
ただし、給料も高いけれど生活費も物価も高いのがシリコンバレーです。給料が日本の2.5倍なら、家賃も食費も全てが2.5倍です。そして毎年のように物価は上がっていきます。
特に家賃の高騰は社会問題になるほどで、一人暮らしのいわゆるワンルームマンションでも30万円、ファミリータイプだと40万円から50万円にもなってしまうので、独身の若い人は、友達同士でルームシェアすることも多いようです。ですから、シリコンバレーのいちばんの金持ちは大家さんです。
シリコンバレーには多くのIT企業が集まり、多くのITエンジニアが働いています。平日の夜や土日にセミナーやミートアップがあちこちで開催され、ITエンジニアが人脈を作ったり情報交換をしたりということが常に起こっています。
仕事の後に同じ技術に興味のあるグループが集まったり、日本人が集まるグループがあったり、日本ではなかなか出会えないような異業種の集まりだったり、単なる飲み会だったり、年齢差のある人と友達になったりすることもあります。
また、多くの大学や地域の学校で夜間講座が常に開設されていて、スキルを伸ばそうと思えばいくらでもチャンスが転がっています。
シリコンバレーだから何でも最先端というわけでなく、ありとあらゆるエンジニアが集まっていますので、未経験の技術をイチからやり直すとか、全くの異分野にチャレンジするとか、いくらでもエンジニアとしての幅を広げられます。
生涯エンジニアとして働けることは、シリコンバレーの大きな魅力です。
そもそもここでは、「エンジニアが年齢を経るにつれて管理職に移行する」という考え方があまりありません。もちろん、本人が希望すればそれも可能ですが、希望しなければ自動的に生涯エンジニアとして生きていくしか選択肢がありません。
ITエンジニアの需要はいくらでもあります。AI(人工知能)やブロックチェーンのようなはやりのスキルだけでなく、エンジニアの需要はあらゆる開発環境、開発言語にわたって常に求められています。製品やサービスを世に出すためには、最先端の技術そのものだけではなく、周辺のツールやビルドスクリプト、テストコードやメンテなど、ソフトウェアを開発する需要はいくらでもありますから。
次回からは、「日本を脱出してシリコンバレーで働きたい!」というITエンジニアのために、「どうすれば仕事をゲットしてシリコンバレーで働けるのか」を、私が最前線の現場で働いてきた経験からお伝えしていきます。
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