米国在住15年、シリコンバレーでエンジニアとして働く@elcaminoreal255さん(エル氏)は、「生涯プログラマーを貫くなら、シリコンバレーがオススメ」と言う。エル氏がそう考える理由、そして米国のエンジニアの日常とは――?
自分の好きなことを仕事にし、その仕事で高い満足感と収入を得続けることは、多くの人にとって1つの憧れだ。ソフトウェアエンジニアだったら「一生プログラマーを続けたい」と思ったことがある人も多いはず。
しかし実際には、会社の浮き沈み、転職、結婚、育児や介護といったさまざまな環境の変化によって、個人の生き方は変わっていく。好きなことを続けるためには、大きなコストや決断が必要で、ときにはリスクも伴う。プログラマーであり続けることは、現実にはかなり難しいのだ。
そんな中、「一生プログラマーを続けたいと思う人にとって、シリコンバレーほど働きやすい環境はないですよ」と話すのが、今回紹介するキラキラお兄さん、@elcaminoreal255さん(以降、エル氏)だ。エル氏は、シリコンバレーに拠点を置く半導体メーカーに務めるシニアソフトウェアエンジニアだ。開発チームのマネジメントを行いながら、自らも毎日コードを書く現役のプログラマーである。
エル氏は@ITの「エンジニアライフ」で、シリコンバレーのITエンジニアの日常を伝えるコラム「エルカミノリアルは今日もバグだらけ」でもおなじみだ。
在米歴は15年を超え、日本人の奥さんと子供と共に米国に住む。米国での仕事と生活のスタイルもすっかり板についている様子だ。祝い事があれば部下や同僚たちと飲み会を楽しみ、自宅の天井が雨漏りすれば、ホームセンターで補修材を買ってきて屋上のコンクリートをDIYで直す。「40すぎなのでお兄さんではないですね」と笑う姿も、気さくな米国人のようだ。
そんなエル氏にも、大きな環境の変化は何度かあった。M&Aによって勤務先が突然、大手企業に買収されたり、会社が事業を縮小したことで部署ごと消滅したりなどの経験もある。勤務先の変更に伴って居住地が東部から西海岸に変わり、文化の違いに戸惑ったことも。それでもずっとソフトウェアエンジニアとして米国で働き続けてきた。
「米国が日本と大きく異なるのは、ソフトウェアエンジニアが職業として確立していることです。エンジニアとしてのスキルや経験があれば、それをきちんと評価して採用します。キャリアの途中でむりやりマネジャーに専念させられることもありませんし、エンジニアを続けたいと言えば、死ぬまでエンジニアを続けることができます。実際、背中が丸まった白髪の老人でも当たり前のようにコードを書いたり、ハンダ付けしたりしています。エンジニアは、時計職人や水道工事業者などと同じ專門職なんです」
専門職であるため分業が徹底しており、自分の意思に反するような異動や転勤はない。ワークライフバランスの意識が浸透しているため、1日をどう使って働くか融通を効かせやすい。趣味に興じたり、家族と過ごしたりと、自分のライフスタイルに合わせて、仕事やキャリアを設計できるのだ。
このような「シリコンバレーで働くエンジニア」の話となると、華やかで楽しげなイメージが先行する。だがエル氏は、「日本のイメージとは懸け離れた現実に驚くことも多いですね」と明かす。その辺りの事情は実際どうなのか、聞いてみた。
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