「Azure Site Recovery」は、オンプレミスのプライベートクラウドやMicrosoft Azure上の仮想マシンに、ディザスタリカバリー(災害復旧)機能を提供するクラウドサービスです。Azure Site Recoveryはさまざまな保護シナリオに対応してきましたが、今後はAzureを利用したディザスタリカバリー機能に投資を集中することが発表されました。
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Microsoft Azureの「Recovery Services」の「Azure Site Recovery」は、プライマリサイトとセカンダリサイト(復旧サイト)間で継続的なレプリケーションを行い、プライマリサイト障害(またはメンテナンス時)のフェイルオーバーによるセカンダリサイトへの素早い切り替えと、ワークロードの継続を可能にするディザスタリカバリー(災害復旧)機能を提供するものです。
Azure Site Recoveryは、オンプレミス間やオンプレミスからAzure、Azureのリージョン間で、Hyper-VやVMware仮想マシン、物理サーバを保護するさまざまなシナリオに対応していますが、Microsoftは今後、Azureへの保護シナリオに投資を集中します。
これに伴い、現在サポートされている「System Center Virtual Machine Manager(VMM)」を利用したオンプレミスのサイト間と、オンプレミスとAzure間の保護シナリオは「2023年3月1日」に廃止されることが発表されました。
具体的には、以下の2つの保護シナリオのサポートが廃止され、「2023年3月1日」にこれらの保護シナリオのための既存のAzure Site Recoveryの構成とレプリケーションに関連するデータは全て削除され、利用できなくなります。
現在利用中のオンプレミス向けの保護シナリオが影響を受ける場合、ディザスタリカバリー機能を維持するためには、サポートが廃止される「2023年3月1日」までに別の保護シナリオに再構成する必要があります。具体的には、以下のいずれかのオプションがあります。
この機会に、オンプレミスのHyper-V仮想マシンをAzure仮想マシンに移行するという選択もあります。Azure Site Recoveryの「移行を実行する:はい」オプション(前出の画面1、画面2)を使用すれば、VMMで管理されているHyper-V仮想マシンをAzure Site Recoveryのレプリケーションとフェイルオーバー機能を利用して、Azure仮想マシンに移行することができます。Azureには、オンプレミスからの移行を支援する専用サービス「Azure Migrate」も用意されています(画面5)。
オンプレミスのVMware仮想マシンまたは物理サーバの、オンプレミスのセカンダリサイトへのレプリケーション保護シナリオについては、以下のドキュメントに説明されている通り、「2018年8月」に既に新規展開ができなくなっています。
また、この利用シナリオの既存の展開については、「2020年12月31日」でサポートされなくなります。VMware仮想マシンまたは物理サーバのAzureへのディザスタリカバリーシナリオについては、引き続きサポートされます。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2019-2020)SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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