企業規模や海外の売上高比率が高い企業ほど深刻 日本CFO協会が経理財務業務の影響調査を実施新型コロナウイルスの影響は長期化

日本CFO協会は「新型コロナウイルスによる経理財務業務への影響に関する調査」の第2弾の結果を発表した。決算業務の遅延や決算発表の遅延といった深刻な状況が浮かび上がった。

» 2020年04月17日 08時00分 公開
[@IT]

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 日本CFO協会は2020年4月15日、「新型コロナウイルスによる経理財務業務への影響に関する調査」の第2弾の結果を発表。業績計画や投資計画、資金計画などについて調べた。

 調査では、決算業務の遅延や決算発表の遅延といった深刻な状況が浮かび上がった。半数の企業が業績を下方修正し、15%の企業は今後の業績の見通しが立っていない。海外売上高比率が高い企業では、国別や通貨別に資金状況が悪化する懸念が高まっている。

画像 日本CFO協会(Webぺージから引用)

懸念されるリスクでは「決算業務の遅延」が多い

 新型コロナウイルス感染症の拡大によって懸念されるリスクについては「決算業務の遅延」を挙げた企業が最も多く、55%(複数回答)を占めた。次いで「今期の計画・予算の未達」(46%)、「業績の下方修正」(38%)、「売り上げの激減」(35%)、「業績発表の遅延」(32%)が続いた。

 企業規模や海外の売上高比率が高い企業ほど深刻だ。売上高が5000億円以上の企業に絞ると「決算業務の遅延」を挙げた割合は74%に上った。次いで「海外監査が困難」(55%)、「業績発表の遅延」(48%)、「国内監査が困難」(45%)、「業績の下方修正」(38%)が続いた。一方、海外売上高比率が50%以上の企業では「決算業務の遅延」(76%)、「業績発表の遅延」(56%)、「海外監査が困難」(51%)、「今期の計画・予算の未達」(36%)、「売り上げが激減」(36%)の順だった。

 なお「株主総会開催が困難」を懸念されるリスクとして挙げた企業は14%にとどまった。株主総会への対策については、「分からない」と「特に考えていない」と回答した割合がそれぞれ25%で、「開催時期の延期を検討している」と回答した企業は4%にとどまった。

新型コロナウイルス感染症の影響は資金繰りにも

 次に業績への影響について聞くと「下方修正する」という企業が多かった。具体的には、今期の業績計画や予算について「大幅な下方修正」と回答した割合は28%、「小幅な下方修正」は22%で、「特に影響はない」は13%だった。

 新型コロナウイルス感染症の影響は、長く続きそうだ。中期経営計画については「分からない」と回答した割合が22%で最も高く、「大幅な下方修正」は19%、「小幅な下方修正」と「特に影響はない」はいずれも15%だった。

 新型コロナウイルス感染症の影響は資金繰りにも及んでいる。懸念されるリスクとして「資金繰りが困難」を挙げた割合は9%と比較的低かったものの、資金状況への影響として「深刻な影響がある」と回答した割合は7%、「かなり影響がある」は14%、「それなりに影響がある」は30%、「若干の影響がある」は31%で、「全く影響はない」と回答した割合は18%だった。

 資金面の対策は「日々の資金繰りの中で現預金を積み増している」と回答した割合が24%に上った。海外売上高比率が50%以上の企業に限ると、「長期の借入や債券発行を行った、あるいは予定している」または「短期の借入やコマーシャルペーパー(CP:短期約束手形)を発行した、あるいは予定している」と回答した割合はいずれも26%と高かった。

 投資計画については、慎重な姿勢を見せている企業が多数を占めた。投資計画を「予定通り実施する」と回答した割合は30%にとどまり、「内容を縮減する方向で見直す」は28%、「実施時期を延期する」は22%、「投資計画の実施をストップする」は10%だった。

 M&A(Mergers and Acquisitions:企業の合併と買収)についても、対応をちゅうちょしているようだ。「予定通り実施する」と回答した企業は8%にすぎず、「分からない」との回答が22%を占めた。

テレワークを「強制的に実施」が増加

 最後にテレワークの実施状況について聞いた。政府から緊急事態宣言が出される前に実施した第1弾の調査では「強制的に実施」が7%、「強制していないが強く推奨」が34%だった。

 緊急事態宣言後に実施した今回の調査では「強制的に実施」が20%、「強制していないが強く推奨」が53%で、大幅に増加した。ただし、テレワークに「満足している」と回答した割合は32%。不満として挙がったのは、「書類のデジタル化が進んでいない」で、回答率は72%に上った。日本CFO協会は「テレワークの体制や準備が整っていない段階で、強制的な運用に踏み切っている企業が多い」と分析している。

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