フランス出身のNicolas Modrzyk(ニコラ・モドリック)氏は持ち前の人懐っこさとユーモアを武器に、OSSのイベントや書籍出版などさまざまなチャレンジをする。そんな同氏がエンジニアに送る「Be Hungry-ous」の意味とは。
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世界で活躍するエンジニアの先輩たちにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。前回に続きNicolas Modrzyk(ニコラ・モドリック)氏にご登場いただく。OSS(オープンソースソフトウェア)のイベントを開催したり、書籍を出版したり、子どもと遊んだり。忙しくも楽しげに過ごすモドリック氏が心掛けていることとは。
阿部川 日本からフランスに戻った後は、どのようなお仕事をされていたのですか。
モドリック氏 フランスで作られたオープンソースソフトウェアを海外に紹介するイベントの企画を考えたり、プレゼンテーションの準備をしたりしていました。リオンで1回目のイベントを開催したときはたった58人の小さなイベントでしたが、続いてパリで開催したら1000人以上来場し、「場所が狭い」「座る場所がない」といったうれしくも悩ましい状況でした。シャンパンを差し入れしてくれる人がいて、なんと「1000人がシャンパン飲み放題」というサービスを提供できたんです(笑)。
阿部川 それは楽しそうです(笑)。
モドリック氏 その会場で、ある台湾人の経営者と親しくなりました。フランス人は飲みだすとフランス語しか話さなくなるので、彼は会場で一人ぼっちになってしまっていて、私から話しかけたのです。
この方はビジネスに対する観点が素晴らしく、中国のマーケットに関して深く説明してくれました。話を聞くうちに「今は中国の話をしているが、実は活動の中心は日本だ」と。さらに「実は今エンジニアを探している」と、それがマクニカの方だったんです。でも酔っていてその話をしたことを完全に忘れてしまって(笑)、翌日起きて、ああ今日もいい1日だなと思ってメールをチェックしていたら、「面接にはいつ来るんですか」とあって、あっ、夢じゃなかったんだと(笑)。
阿部川 それがマクニカでアーキテクトとして働くきっかけになったんですね。
モドリック氏 はい。アーキテクトは「どういう技術を使えばいいか」「何ができるのか」を技術的な観点から見極める仕事でした。当時はCMS(コンテンツ管理システム)といっても、入力画面が1つしかないものすごいUI(ユーザーインタフェース)で、全部見るためには上から下までスクロールをしないといけないようなものでした。そこでオープンソースで、スイスに拠点がある企業のCMSを探し当てて、それを日本に移植する、といったこともやりました。
そのスイスの企業はワークフローエンジンを開発していて、共同開発をしていた企業にそのワークフローエンジンをデモしようということになりました。ただ、困ったことがありました。デモの日時が来週に迫ってきていたのにシステムがうまく動かなかったのです。検証しようとしたのですが、OSSなので自分で作業しないと分からない。
そこでスイスのエンジニアと、深夜2時から朝方4時くらいまでSkypeとオンラインで一緒に作業しました。なんとか作業が終わって「スカイプでやるのもいいけど、やっぱり物理的に隣同士でやった方がいいね」という会話になって、日本に来ませんかと言ってみました。そうして結局彼も日本に来ました(笑)。その後、彼とオープンソース絡みの開発をたくさんしました。
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