各AI研究分野の立ち位置を示す「AIマップ」(人工知能学会の公開リソース)とは?AI・機械学習の活用ガイド

人工知能学会が公開している「AIマップβ」を紹介。4枚のAIマップの概要と使い方の例を示す。AIマップは、各AI研究分野の立ち位置を確認したり整理したりするのに役立つだろう。

» 2020年06月01日 05時00分 公開
[一色政彦デジタルアドバンテージ]
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連載目次

 今回は小ネタである。日本の人工知能学会(JSAI: The Japanese Society for Artificial Intelligence)は、「AIマップ(β:ベータ版)」と呼ばれる、AIの研究分野全体を見渡せる俯瞰(ふかん)図となる資料を(主にAI研究の初学者などに向けて、1年前の2019年6月に)公開している。この資料は誰でも利用でき、AIの研究分野の全体像をざっくりと把握できる資料となっている。

図1 「AIマップ – 人工知能学会」のスクリーンキャプチャー 図1 「AIマップ – 人工知能学会」のスクリーンキャプチャー

 詳細については公式サイトを参照してほしい。本稿では、AIマップの概要と使い方の例について簡単に紹介する。

利用上の注意事項

 最初に、注意事項を示しておく。表現の違いによる勘違いを防ぐため、全てそのまま公式サイトから引用する。

【AIマップの引用・再利用について】

AIマップは、引用の範囲で、以下の要領で自由にお使いいただいて結構です。

  • 冊子全体をそのままコピー掲載しない。
  • 引用表示「人工知能学会「AIマップβ(2019年6月版)」」を併記する。
  • 可能であればダウンロードURLも併記する。

なお、AIマップβの趣旨からして、「同一性保持権」は行使しませんので、上から書き加えて頂いたり、一部を改変頂いてもOKです。
お手数でなければ、引用された資料をAI学会事務局(info[at]ai-gakkai.or.jp, [at]を@に置換)あてにお送り頂ければ幸いです。今後の活動の参考にします。

ダウンロード方法

 AIマップは、公式ページからダウンロードできる。PDFファイルが直接ダウンロードできるリンクも以下に掲載しておく。

4枚のマップ

 AIマップは、異なる4つの観点から、4枚のマップに分けられている(図2)。

図2 AI研究の全体とAIマップβとの関係[引用: 人工知能学会「AIマップβ(2019年6月版)」] 図2 AI研究の全体とAIマップβとの関係[引用: 人工知能学会「AIマップβ(2019年6月版)」]

  • マップA: AI(=人間の知的活動フローの模倣)のプロセスを図にし、その各地点に各研究分野を位置付けたマップ
  • マップB: 技術(認知科学/問題解決/知識・推論/学習)と応用対象(画像/音声/自然言語/Web/エージェント/サイバーフィジカル/社会とAI)の相性や関連をマップにまとめたもの
  • マップC: AI研究分野のカテゴリ分け(基礎理論研究〜産業応用研究)を段階的にマップにしたもの
  • マップD: AI研究のアプローチ方法を6つ(推論・知識・言語/発見・探索・創造/進化・生命・成長/人・対話・情動/身体・ロボット・運動/学習・認識・予測)に分けて、影響を与え合う関係が特に強い2つだけが接するように円状に並べたマップ

 上記の説明は、筆者によるものであり、公式の説明とは異なる可能性があるので注意してほしい。

AIマップの使い方の例

 この4枚のマップをざっくりと眺めるだけでも、羅列される単語から「AIに関連する研究分野には、どのようなものがあるか」や「その研究分野の立ち位置」が分かるようになるだろう。特にAIや機械学習/ディープラーニングなどを学び始めて、まだまだ知識量が少ない人にとっては、ネット上で情報収集しているとさまざまなAI研究関連の用語が出てきて混乱しやすい場合もあるだろう。それが自分のやりたいことに関係する用語や分野なのかを判断するための材料として、このAIマップが使えるのではないかと思う。

 例えば「セグメンテーション」という用語/研究分野について知りたい場合、AIマップ(PDFファイル)内で「セグメンテーション」で検索してみるとよい。図3に示すように、4つのマップそれぞれでヒットした。そこから「セグメンテーション」がAI研究ではどういう立ち位置なのかを知ることができるだろう。

図3 AIマップの使い方の例[引用: 人工知能学会「AIマップβ(2019年6月版)」] 図3 AIマップの使い方の例[引用: 人工知能学会「AIマップβ(2019年6月版)」]


 以上のように、AIマップを使えば、各AI研究分野の立ち位置を俯瞰できる。例えば、AI分野を整理するときの参考にしたり、関連する知識を習得する際の手掛かりにしたり、といったケースでぜひ活用してみてほしい。

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