UiPathはRPAの効率化を図る新製品3種を発表した。自動化する業務を調査する製品や、業務効率改善のための協働を促す製品を販売し、既存製品のクラウド化も進める。
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UiPathは2020年5月27日、3つの新製品と、既存製品のクラウド版のリリースを発表した。
同日行われた記者説明会の場で代表取締役CEOの長谷川康一氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るう状況下での働き方について次のように語った。
「安全と経済を両立しなければならないという難しい局面を迎えている。今の危機意識が、根本的な発想の転換を可能にする。過去のしがらみを超えて、変革できる機会が訪れている」
長谷川氏は、対症療法的に局所的なデジタル化をしても効果は限定的であると述べ、働き方の前提を見直した効果的な次世代の業務フローを作るべきと主張した。
「これまで提供してきた製品は、RPA(Robotic Process Automation)の開発、管理、実行を支えるものだった。これからは、次世代の業務フローを使いこなせる人材を育てるという観点から、自動化する業務の発見、AI(人工知能)や既存のシステムが全てプロセスとしてつながる協働、自動化の効果を可視化する測定、これらを支える製品を提供していく」(長谷川氏)
今回発表された新製品は、「UiPath StudioX(以下、StudioX)」「UiPath Automation Hub(以下、Automation Hub)」「UiPath Process Mining(以下、Process Mining)」の3つだ。
StudioXは、従来提供しているRPA開発ツールの「UiPath Studio(以下、Studio)」を基に、RPAを推進するCoE(Center of Excellence)やRPA開発者だけでなく、RPA初心者やプログラミング未経験者でも簡単にRPAの開発ができるよう設計されたツールだ。
UiPath ソリューション本部 エバンジェリストの大森俊秀氏は「必須機能にフォーカスしたシンプルで分かりやすいUIで、ストレスフリーに使用できる。今までプログラミングやRPAを難しく感じていた初学者や事業部門担当者でも、つまずきにくく、これまでより多くの業務を効率化できる」と語る。
既存のStudioとの互換性も有しており、StudioXで作成したプロセスをStudioで編集し、その後再度StudioXで開いて編集も可能だという。
「事業部門担当者が、StudioXを使ううちに、高度なことをしたくなった場合でも、RPA開発者に途中まで開発したものを渡して、Studioで実装してもらうことができる。また、部分的に実装したものをStudioで共通部品化することによりStudioX上で再利用ができる」(大森氏)
Automation Hubは、社員から寄せられる業務自動化案件の選定と自動化状況の進捗(しんちょく)を一括管理できるシステムだ。社員の自動化アイデアを可視化し、RPA開発者やIT部門、現場の業務担当者の連携を容易にするという。
この製品は現在同社が提供する業務プロセス文書化ツール「Task Capture」とまとめて販売する。Task Captureによって記録された業務プロセスがAutomation Hubに送信され集約されることで、社内での業務自動化ニーズを可視化しやすくする効果が期待できるという。
Process Miningは、ETL(Extract/Transform/Load)を用いて業務プロセスを分析し、RPA化に最適な業務の可視化を支援するシステムだ。2019年に米UiPathが買収したProcessGold社の製品をUiPath製品として正式に発表したもので、先行して英語版が提供されている。世界初のローカライズ版として日本語版を発売した。
ETLを用いて、データベースを読み込み、AIが解析し、個別の業務をワークフローの形で可視化する。どのような作業が行われていたのか、どのくらいの回数で行われているのかを視覚的に確認できるという。
発表会では新製品の発売とともに、クラウド化に注力する意向も明らかにし、自社クラウドサービスでRPAのプラットフォームを提供する「UiPath Automation Cloud for enterprise」の販売開始を発表した。
「2020年のUiPathは、クラウド化にフォーカスする。第1弾として、UiPath Automation Cloud for enterpriseのサービスの一つであるクラウド版UiPath Orchestratorを提供する」(長谷川氏)
「UiPath Orchestrator」はライセンスの権限管理や、RPAの稼働状況、エラー発生状況の把握などの管理機能を1つにしたツールだ。クラウド版のOrchestratorは、在宅勤務でもRPAの稼働状況のチェックや、ライセンス管理を行うことができるという。
UiPathでは今後も順次、UiPath Automation Cloud for enterpriseで使用できる製品を増やす方針だ。
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