連載
» 2020年06月02日 05時00分 公開

新規事業開発ってむなしくないですか?おしえて、キラキラお兄さん(3/3 ページ)

[高橋睦美,@IT]
前のページへ 1|2|3       

新規事業は「いかにうまく失敗するか」がポイント、システムもその観点で検討を

 ただ、やはり新規事業の立ち上げは厳しい世界だ。「新規事業の成功確率は5〜10%で、失敗することの方が多いです。ですから、基本的に失敗する前提で、いかにうまく失敗するかが重要になってくると思います」と大庭さんは話す。

 具体的には、重厚長大なシステムを作るのではなく、ある程度柔軟性を持たせたシステムをミニマムで作り、ユーザーに当てて、そこで仮説を立証していって、その結果に基づいて新機能や追加開発を進めていく形がベストだという。何が正解かが分からない不確実性の高いシステム、これから収益を生みだすためのシステムなどには、アジャイルといったスタイルが機能するという。

 ただ、全てのシステムにそうしたスタイルが適切というわけではない。「既に社会課題や解決策があって、比較的不確実性が低い開発、既に仕様がかっちり決まっている場合には、ウオーターフォールが向いていると思います」

 従って、「今やろうとしている開発がどっちなのかを見極め、それに適合する形で開発プロセスを選ぶように意識しています。案件の不確実性を読み取った上で柔軟に、ウオーターフォールか、アジャイルなのかを選ぶことが、守りのITか攻めのITかに関係なく重要だと思います」という意見だ。

 中には「アジャイル開発」それ自体が目的化しているケースも耳にするというが、「そういう会社に限って、アジャイルができないような決裁システムになっていたりしますね」と付け加えた。

 さらにもう1つ。エンジニア人材市場の状況を加味して、選択する技術を決めることが大切だという。

 「CTOの趣味でちょっとマイナーな言語を採用してしまうと、人を増やしてスケールしていく段階で、エンジニアを集めづらかったりします。事業上の判断も加味して技術を選定できるかどうかも、事業開発の初期段階におけるCTOの役割じゃないかと思います」

 中には、あえてマイナーな言語を選んで技術力の高いエンジニアを集めるトガった戦略を取る会社も存在する。そんないろんな流派があるのは理解の上で、「個人的には、失敗する前提で、柔軟なオプションを取れる方がいいんじゃないかと思います」とのことだ。

テレワークが変えるエンジニアの働き方や新しい価値

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行とともにテレワークが広がり、エンジニアの働き方も変わってきた。「3月から開発をスタートしてα版をリリースした案件が複数ありますが、うちの場合、お客さまと実際に顔を合わせたのは1回だけで、後は全部オンラインでした」という。

 「エンジニアやデザイナーは割とリモートワークに慣れていて、普通にできるよねという感じでした。テレワーク拡大で影響が大きかったのは、どちらかというと、発注者側の意識変革の方じゃないかと思います。今まで常駐にこだわっていたけれど、意外とリモートでもできるじゃん、という会社が増えたんじゃないでしょうか」

 これまでのように常駐にこだわらなくても案件は回せるし、システムが仕上がってくるという意識が発注者に広がり、そのうまみが理解されれば、東京一極集中から、地方での開発、リモートワーク中心での開発が増えていくのではないかと予測する。

 この結果、エンジニアの価値にも変化があるかもしれない。

 例えば、オンライン化すれば成果ベースで評価が下されるようになるため、これまで何となく仕事をしているように見えた人でも、「あの人、オンラインだと実は何やっているかよく分からないな」といったお座敷芸が効かなくなってくるのではないかと大庭さんは考える。逆に、これまで評価されにくかった地味な仕事、ふわっとしていた細かな仕事も可視化され、誰がどのぐらいこなしているか、しっかりトラッキングされる可能性がある。

 「仕事をしていたように見せていた人にとっては微妙な時代かもしれませんけれど、頑張って重要なことをこまごまとやっていた人は報われるんじゃないでしょうか」

 そしてもう1つ、エンジニアに一種の「発信能力」も求められるようになるのではないかとも予測する。

 「オフィス勤務だと何となく全体が見渡せて、あの人は何をやっているかとか、最近どうなのかがコミュニケーションできましたが、オンライン中心になってくると、自分から発信しないと何をやっているか分かりません。自分からしっかり質問したり、時には成果をアピールしたりと、しっかり自分からコミュニケーションし、発信できるような人が採用で求められると思うし、今後、エンジニアとして生き残っていけるだろうなと思います」

大庭さんの「リモートワーク三種の神器」は、「AirPods Pro」「ハリオのコーヒードリッパー」「加湿器」。
「3つそろってなくてもOKでしたら、三種の神器といいつつAirPods Proのみでいいかなと思います笑。あまりにビデオ通話が多く、バッテリーが持たないため、2台購入して片方充電中に片方利用する輪番運転でしのいでいます笑」
前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。