佐川急便、JDSCら5者で「AIと電力データを用いた不在配送解消」に向け実証実験電力データで在宅か不在宅かを判定し、配送効率向上

佐川急便は日本データサイエンス研究所(JDSC)、東京大学大学院 越塚登研究室・田中謙司研究室、横須賀市、グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合(GDBL)と共同で、「AIと電力データを用いた不在配送問題の解消」の実証実験を実施する。

» 2020年07月14日 13時00分 公開
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 佐川急便は、日本データサイエンス研究所(JDSC)、東京大学大学院 越塚登研究室・田中謙司研究室、横須賀市、グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合(GDBL)と共同で、「AIと電力データを用いた不在配送問題の解消」の実証実験を開始することを2020年7月9日、会見および調印式を開き発表した。

調印式に出席した5者代表 調印式に出席した5者代表

 これまで佐川急便、JDSC、東京大学の3者で同内容の共同研究を2019年10月31日から進めていた。JDSCは東大越塚研究室と連携し、スマートメーターから得られる電力データを元に、AI(人工知能)が配送ルートを示すシステムを開発。2018年に東京大学内で実施した配送試験で、不在配送を9割削減する結果を得た。その後、2019年9月に同様のシステムを用いて佐川急便の持つ配送実績データでシミュレーションした結果、不在配送の削減や総配達配送時間の短縮など一定の効果を確認したという。

 今回、3者に加え横須賀市とGDBLが共同研究に参画し、フィールド実証を開始する。2020年8〜10月までの期間に横須賀市内でモニターを募集し、10月ごろから実証実験を開始する。実験の対象地域は横須賀市内でも全体的に不在率が高く、若者層から高齢者層まで幅広い世代の世帯が存在する「池田町、吉田」地域だという。

実証実験における各者の連携 実証実験における各者の連携

JDSCの担当者に話を聞いた

 会見後、東京大学と共同で配送ルート最適化システムの開発を進めるJDSCのCDSO(Chief Data Science Officer)大杉慎平氏に今回の実験について話を聞いた。

 従来の実装では在宅/不在宅の確率のしきい値を設定していたため、判定の正確さに影響を及ぼしていた。スマートメーターから任意の時点における1軒1軒の電力データを取得できるようになったため、機械学習のアルゴリズムを用いてより正確な在宅/不在宅の判定が可能になった。一方で、各軒の電力データから在宅/不在宅かを予測するため、従来の実装より計算量が増える課題もあるという。

 「マシンパワーの向上で、複雑かつ計算量の多いアルゴリズムでも実用可能だ。機械学習を用いて精度を上げるため、学習を続けていけばより最適化されたルートを提供できるようになる。在宅であっても不在のように振る舞う利用者が一定数いるため、それも加味していけるように開発を進めたい」(大杉氏)

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