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» 2020年07月28日 05時00分 公開

プライバシーフリーク、コンタクトトレーシング(接触確認)アプリの是非を問う――プライバシーフリーク・カフェ(PFC)リモート大作戦!01 #イベントレポート #完全版私は入れますよ(2/5 ページ)

[鈴木正朝, 高木浩光, 板倉陽一郎, 山本一郎,@IT]

私は入れますよ

山本 コンタクトトレーシングアプリの学術的な意義は、内々ではいろいろと話をしている状態です。かなり迷いもあるようですが。

 1つは、今行っているクラスター対策のトレースのための仕組みとして資すると明確に厚労省が言っています。ただ、その中で先ほどおっしゃったように普及率が低いままであればどれだけの意味があるのかという心配はあります。

 要は、感染者と濃厚接触した人を過去に向かって割り出していくというんですが、「このクラスターで感染が広がったので、この疑いがある人に対して個別に話をする」という方法で追いかけてきた今までのやり方では、完全にミッシングリンクだった人がいました。特に、保健所などからの電話でのヒアリングに応じてくれないところは「夜の街クラスター」などと微妙なワードを挟んでぼかしながら報じてきました。

 だから、トレーシングアプリがきちんと普及してくれることは期待大です。完全に分からない人がいるような状態に比べれば、2割でも3割でも捕捉できる仕組みがあると非常にありがたいということは確かです。それで十分なのかといわれると微妙で、このままの体制でいけるのかどうかはまだちょっと分からないですけれども。

高木 普及率と効果の話は、海外の研究事例では、6割がインストールするとロックダウンと同等の効果を得られるという予測があります。ただこれは、ロックダウンなしで同じ効果を得るための要件なので、そこまでやることが必須なわけではないですよね。日本で6割のインストールなんて無理だっていう話がもう出ちゃっていますけど、それは前提が違うというか、「ロックダウンと同等」というゴール設定が高過ぎるだけではと。

 だから少しでも効果があるのであれば、やる意義はあるわけで。そのためには、厚労省が説明しないといけませんね。これを入れることによって何が可能になるので、そのために何割くらいでいかほどの効果が得られる、と言ってほしいところ。それは以前から問い掛けているのですが誰も説明していない。

山本 説明したくても、うっかり説明すると「それはどこまで信じられるのか」と言われてしまうのでは思うんですが。実際そういうものが出たら、皆さんは入れますか?

セミナーの収録風景。適度な距離を保っています

鈴木 私は一応入れますね。もう即日バージョンアップしましたからね、iOSをね。問題は普及計画ですよ。これが出てこないのが気に食わなくて。私は失敗してもいいと思うんですよ、こういう状況ですから。多少でもやって意味があるなら頑張ってやれ、と。しかし、計画があって失敗するなら、検証して次につながるけれど、そういうところをコミットできないあたりがちょっと腰が据わっていないよなと思って。ダメ元で攻めてった方がいいわけです。次回もあるわけですから。やるべきことはトライした方がいいですよ。

板倉 コロナの基本的な性質として、発症までにしばらく時間があってその間も感染してしまうとなると、さかのぼって接触したことが分かることは重要ですし、たくさんの人が入れた方が規模の経済が働いて早めに防げるという意味では、私は入れます。入れられる端末をいっぱい持っていますし。

山本 持ち歩いている端末全部にアプリを入れても、それは迷惑じゃないですかね(笑)。高木先生はいかがですか?

高木 ええ、入れますよ。なぜ入れるかというと、仕組みは理解したからです。仕組みを理解したので、こういうリスクしかないと踏まえるとほぼ問題ないと思いますし。

 なぜ積極的に入れるのかといえば、これは自分だけの問題ではないからです。簡単にいえば、マスクして出掛けるのと同じことですよ。自分の感染は防げないのにマスクをするのは、もしかすると自分が感染しているかもしれないから、うつさないようにということ。ずっと自宅でテレワークですから、感染しているわけはないけれど、マスクして出掛けるんですよね。同じようにアプリも入れて、万が一があった場合には、皆さんにお知らせできるために入れるということ。

 もう1つは、特殊な事情がある人がどうしても入れたくないということはあるかもしれませんが、私はたまたまそういう状況にはないので、入れることに問題はないと。

山本 山本家の場合は、子供にキッズ携帯を持たせているのでスマホ向けのアプリを入れられないという問題が。どこの学校も、スマホの持ち込みは禁じていますからね。結果として、子供が一番無防備になるのはどうかなと思います。子供はあまり重症化しないという説を信じて目をつぶるしかないのかなと家の中では話をしています。

高木 山本さんがずっと一緒に行動していれば代わりになりませんか?

山本 そういった点でいうと私もなるだけ同伴します。でも、コンタクトトレーシングアプリでは、感染の疑いのある人との接触の有無は分かっても、それがどこで、いつ、というのが分かりません。ひょっとしたら子供と一緒に電車に乗っているときかもしれないし、そうでないかもしれない。そこが分からない限り、心配には変わりないです。

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