IDC Japanは、ITインフラストラクチャサービスへの投資動向に関する調査の結果を発表した。2019年度に最も投資された技術領域は「サイバーセキュリティ」だったのに対して、2020年度は「リモートアクセス」への投資が大きくなりそうだ。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
IDC Japanは2020年8月27日、ITインフラストラクチャサービスへの投資動向に関する調査の結果を発表した。国内691社のCIO(最高情報責任者)やIT部門のマネジャーなどを対象に調査した。
IDCによると「ITインフラストラクチャ向け支出比率の高い企業は、クラウドを活用することでITインフラストラクチャ領域のコスト削減を図っている」という。サイバーセキュリティとコスト削減がITインフラストラクチャ領域での課題としている企業が多いためだ。調査結果を見ると、従業員規模が大きい企業ほどクラウドインフラストラクチャサービスの利用率が高かった。
2020年度に投資を検討している技術領域を見ると、トップは2019年度に引き続き「サイバーセキュリティ」だが、2位に「リモートアクセス」が入った。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、在宅勤務に対応するために需要が拡大しているようだ。特に中堅企業はリモートアクセスへの投資を検討している割合が2019年に比べて2020年は約9ポイント(14.9%から24.1%)上昇している。これに対してサーバやストレージ、ネットワークの仮想化に積極的なのは従業員1000人以上の企業が多かった。
IDCは「2020年度はリモートアクセスへの投資意欲が高まっており、ベンダーにはそれを契機とした新規顧客開拓のチャンスが訪れている」と分析する。ただし同社は、中堅中小企業はITインフラストラクチャ向けの要員や予算が少ないため、ベンダーは効率的かつ低コストでサービスを提供できるようサービスを設計する必要があると指摘している。
IDC JapanでITサービスのシニアマーケットアナリストを務める吉井誠一郎氏は、「中小規模のITインフラ環境を包括的にサポートする、クラウドも活用した標準化/定型化されたメニューの充実が求められる」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.