セントラルフロリダ大学の研究者は、オンライン教育などで導入され始めているAIベースの教育助手が役立つかどうかを決めるのはどのような要素なのかを調査した。その結果、有能さ以外にもう一つの要因があることが分かった。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
セントラルフロリダ大学は2020年10月30日(米国時間)、オンライン教育などで導入され始めているAI(人工知能)ベースの教育助手(TA)に対する学生の認識について発表した。
米国では既に少数のコースにAIのTAが導入されており、効果的なAIとはどのようなものなのかを探る必要があった。発表によれば、こうしたAIが生徒や学生に受け入れられるには、有能であるとともに、コミュニケーションを取りやすいことが要求されるという。
同大学のニコルソン・コミュニケーション・メディア・スクールの准教授であるジヒュン・キム氏が率いる研究グループは研究結果の一部を論文にまとめ、「International Journal of Human-Computer Interaction」で発表した。
キム氏はこう述べている。「AIのTAを効果的に活用するには、AIやAIから学ぶ体験について、生徒や学生の認識を理解する必要がある。前向きな学習体験を促進できる効果的なAIを設計するには、こうした研究が必要だ」
キム氏によれば、教授の代わりとなって独力で講義を進めるAIはまだ現実的ではない。しかし学生の面倒を見るTAとしては有用なのだという。
AIは生徒や学生からのよくある質問に答えることができ、教授の業務負荷の軽減に貢献する。こうした質問は、学期ごとに頻出し、数百人の学生が参加するオンライン講義では膨大な数に上る。このような質問への対応は教授にとって大きな負担になる。AIがこうした質問に24時間365日、迅速に対応すれば、教師だけでなく学生も助かる。
ジョージア工科大学のアショク・ゲル教授が開発した「Jill Watson」はAIを用いたTAの一例だ。IBMの「Watson」プラットフォームを用いて開発されたAIであり、2016年から実際の講義で利用されている。2019年には生物学の講義にも対応し、複数の学生の共同学習にも対応した。
ゲル教授が数年間続けてきたオンライン講義で学生からよく出た数千件の質問とその答えをジルに学習させ、追加的な学習の後に調整を施されると、人間のサポートを受けることなく、TAの1人であるかのように、学生からのよくある質問に正確に答えられるようになった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.