「みんなと一緒に仕事がしたい」とウズベキスタンの青年は今日も自転車をこぐGo AbekawaのGo Global!〜Imomsaidov Oybek編(後)(1/2 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。日本の大学で社会的問題の解決方法ついて学んだImomsaidov Oybek(イモムサイドブ・オイベク)氏が卒業後に就職したのは「アバクロ」だった(ITどこ行った?)。

» 2020年12月04日 05時00分 公開

 世界で活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。前回に続きImomsaidov Oybek(イモムサイドブ・オイベク)氏に話を聞く。大学で社会的問題解決のために技術が有効なことを学んだオイベク氏。技術で世界をより良くするために同氏が大切にしていることとは。聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。

「まずは仕事をしないと」と決めた会社で学んだマネジメント

阿部川“Go”久広(以降、阿部川) 在学時からプログラミングの能力はおありだったのに、卒業後はITの会社ではなく、Abercrombie & Fitch(服飾の会社)に入社なさいますね。なぜですか。

阿部川“Go”久広(取材はリモートで実施)

オイベク氏 (ここだけ日本語で)今はちょっと違いますが(笑)、当時は、まだ私の日本語は仕事で使えるほどうまくなっていなかったので、まずは英語を使ってやれる仕事を探して、その上で日本語をもっと勉強しようと考えました。大変ラッキーなことにAbercrombie & Fitchが日本で英語ができる人間を探していたので就職し、埼玉県富士見市の店舗でマネジャーを務めました。

 マネジャー1人あたり、20名近くのアルバイトを統率していました。多くの日本人とチームで仕事をしなければなりませんでしたから、マネジメントの多くをここで学びました。

阿部川 日本で初めての仕事ですね。一番大変だったことは何でしたか。

オイベク氏 うーん、特に思い付かないですね。私は常に日本の方々を尊敬していますし、学生のときは毎日アルバイトをしていましたから仕事を大変だと思うことはなかったです。むしろ学生ビザの心配がなくなったことがうれしかったですね。

阿部川 国際社会科学の留学生として学生ビザを取得されていたのですよね。

オイベク氏 はい。その学生ビザは経済、社会科学、エンジニアリングといった国際社会科学関係を専攻して卒業するためのものなので、卒業後に関連のない仕事に勤めたり、就労ビザを取得したりしてはいけません。選択肢が限られた中、学生ビザの有効期限までに自分の学歴に合う仕事を見つけないと、筑波大学での貴重な経験を生かせず帰国することになる。それが一番心配でした。

阿部川 なるほど。Abercrombie & Fitchではどれくらいの期間、仕事をなさったのですか。

オイベク氏 1年程度です。おかげさまで日本語の能力は大変向上しました。その間、IT関連の書籍をたくさん読んで「世界を良くしたいと考える仲間同士で仕事がしたい」と思うようになりました。そのように考えていたときにBFTに出会いました。他の人の役に立ちたい、社会に貢献したい、という思いが具体化できれば良いなあと思っていました。

阿部川 BFTを見つけたきっかけはどのようなことだったのですか。

オイベク氏 きっかけは友人の紹介です。私も自分と同じ価値観というか、仕事に対する思い入れが合う企業を探していたので、早速BFTの情報を集めました。

阿部川 BFTの方とは入社前にお話をされたのでしょうか。

オイベク氏 実はたった1回の面談だけでした。というのも、日本は4月に新卒が新入社員として一気に入社するのが一般的ですが、私は留学生なので卒業の時期がずれていたんです。だからきっとその時期は応募してくる人が少なかったのだと思います。

You、いつから来られる?

阿部川 なるほど。面談ではどんなお話をされたのでしょうか。

オイベク氏 自分がBFTに入社したらやりたいことを全てお話ししました。すると小林さん(代表取締役社長 小林道寛氏)は「日本語検定試験のLevel 2に合格したら、今話してくれた仕事は全てできますよ」とおっしゃいました。それで一念発起して勉強し、6カ月後に無事合格しました。これも人生が変わった瞬間だったと思います。そのことをBFTの人事に伝えると「では再度応募してください」ということになって、その後すぐ「いつから来られますか」というメールが来ました(笑)。次の月にはもうBFTで働き始めていました。

Imomsaidov Oybek(イモムサイドブ・オイベク)さん

阿部川 展開が早いですね! 今はどのようなお仕事をされているのですか。

オイベク氏 クラウドに関する仕事をしています。アプリケーションやデータセンターをクラウドに移行したいお客さまの要望をコンサルタントのように聞いたり、最新の技術を適切な価格で活用するにはどうすればいいかを考えたりします。私はまだまだ経験不足なので、チームの一員としてできる仕事をやっています。

阿部川 これから経験を積んでいって、どのようになっていたいと考えていますか。

オイベク氏 要望に対して的確なソリューションを素早く提供できるようになって、今以上にお客さまの役に立ちたいです。お客さまの役に立つことができれば私はいつでもハッピーな気持ちになれます。

阿部川 ぜひ頑張ってください。今一番興味があること、やりがいのあることはなんでしょうか。

オイベク氏 そうですね、ITの仕事は、触ったり、匂いをかいだりはできない実体のないものです。コンピュータやインターネットを超えた先に何かがあるわけではない。なんて不思議なのだろうと魅了されますが、しっかり考えないと何に挑戦すればいいか分からなくなる仕事だと思います。

 例えば部屋の模様替えをするとき、この家具をこっちに持ってこよう、電源が足りないから延長してみようかなど、実際に触って試すことができます。コンピュータだとまずイメージして、それをテキストだったり、図形だったり、何かの形で表現しないと実体にならない。それは最高に素晴らしいのですが、同時にとても難しいことです。

阿部川 なるほど。ITの世界はスピードが一つの大切なファクターですが、同時に、物事を抽象化し、じっくり考えたりゆっくり見たりすることも大切だと思います。オイベクさんは「slow learner」(学ぶのに時間がかかる)とおっしゃいますが、それはむしろ差別化のための強みだと思いますよ。それに理解できてしまえばクイックに動けるでしょう(笑)。オイベクさんは自身の強みを何だと考えていますか。

オイベク氏 学ぶのが遅く、たくさん間違いますが「間違いからしっかりと学ぶこと」でしょうか。BFTのように間違いをしてしまうことを許容してくれる企業ではたくさん学ぶことができます。だから私は間違うことを恐れません。失敗したらその分、多くを学んで次の仕事に生かせればよいと考えています。小さいころから今までずっと働き続けてきたので、そうやって仕事をし続けることには何の迷いもありません。

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