ポスト5Gに向けたインフラ省電力化やAI主導の運用技術 KDDIと東京大学がNEDOに採択「ポスト5Gに発生する2つの課題」とは

NEDOが公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究」で、KDDIと東京大学大学院情報学環中尾研究室が提案した「超知性コンピューティングアーキテクチャの研究開発」が採択された。KDDIらは「ポスト5Gに発生する2つの課題に取り組む」としている。

» 2020年12月08日 08時00分 公開
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 KDDIと東京大学大学院情報学環中尾研究室は2020年12月4日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究」で、両者が提案した研究「超知性コンピューティングアーキテクチャの研究開発」が採択されたと発表した。

画像 「超知性コンピューティングアーキテクチャの研究開発」の技術概要(出典:KDDI

 「5G」(第5世代移動通信システム)は各国でモバイル向けの商用サービスが始まっているが、この後さらに「超低遅延」や「多数同時接続」といった機能が強化された5Gが登場するとみられる。KDDIと東京大学大学院情報学環中尾研究室はこれを「ポスト5G」と定義している。

 ポスト5Gの通信トラフィックは5Gの10〜100倍になるとみられ、サービスの多様化も見込まれている。KDDIと東京大学大学院情報学環中尾研究室は「この研究(超知性コンピューティングアーキテクチャの研究開発)でポスト5Gに発生する2つの課題に取り組む」としている。

ポスト5Gに発生する2つの課題

 ポスト5Gで発生する課題の一つは電力破綻だ。通信トラフィックが増加することで通信インフラの消費電力も増加し、電力供給が限定的な分散局などでは「通信機器の高性能化」に限界が出てくる。

 もう一つの課題は、適切な学習データの不足だ。多様なサービスに対応するため、ネットワークの運用はAI(人工知能)主導にする必要があるが、適切な学習データが不足する懸念がある。

 KDDIと東京大学大学院情報学環中尾研究室は、通信インフラの高性能化と省電力化を両立する技術やAI主導のネットワーク運用技術によって、こうした課題に対処する。

画像 ポスト5Gの課題(出典:KDDI

 KDDIは通信インフラの高性能化と省電力化を両立する技術を主に担当する。CPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)やGPUなどを、仮想通信機器の演算内容に合わせて適材適所に利用するハードウェア構成技術を確立する。

 東京大学大学院情報学環中尾研究室は、学習データ不足を解決するため、実ネットワークでは取得しにくいデータを疑似的に生成する手法を開発する。生成したデータとシミュレーターを使って、ネットワーク運用に向けて短い期間でAIに学習させる技術も開発する。

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