用語「無色の緑の考えが猛烈に眠る」について説明。文法的には正しいが意味的にはナンセンスな文章の例として、言語学や自然言語処理でよく用いられている。
“Colorless green ideas sleep furiously.”(「無色の緑の考えが猛烈に眠る。」)
とは、文法的には正しいが意味的にはナンセンスな文章の例である。まず「無色の緑」は構文は正しいが意味が矛盾している。「緑の考え」「考えが〜眠る」「猛烈に眠る」なども、その意味をよく考えると理解不能である。
この例文は、1957年に哲学者のノーム・チョムスキー(Avram Noam Chomsky)氏の著書『Syntactic Structures』の中で提示された。それから言語学などの分野で、構文は正しいがナンセンスな文の例としてよく用いられている。自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)を扱う人は知っておきたいフレーズである。
この例文が示唆することは、人間が日常的に用いる自然言語において「言語学的な構造である統語論(Syntax:構文)」と「意味論(Semantics)」は別物、ということである。例えば、
“Furiously sleep ideas green colorless”(「猛烈に」「眠る」「アイデア」「緑色」「無色」)
という2つ目の例文を考えてみよう。前述した1つ目の例文は、意味は不明だが構文は正しい。それに対して2つ目の文章は、意味不明なだけでなく構文も間違っている。よって1つ目と2つ目の例文を同等の誤りとして扱うべきではない。つまり言語学や自然言語処理においては、統語論と意味論は区別されるべきなのである。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.