Googleが予測する2021年のデータとクラウドの動向とはオープンインフラが主流に

Googleは2021年に留意すべきデータ分野とクラウド分野の6つの動向について公式ブログで解説した。クラウドのメリットがコストだけではないことや、セキュリティ基盤としても重要であることが分かる。

» 2021年01月19日 16時00分 公開
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 Googleは2020年12月24日(米国時間)、2021年に留意すべきデータ分野とクラウド分野の6つの動向を公式ブログに挙げ、解説した。一連の革命的な変化の兆候が既に現れており、それらを踏まえてどんな行動を起こすかが大事だという。

 それによってディスラプション(創造的破壊)を起こす側になるか、起こされる側になるかが左右されるだろうと述べている。

(1)クラウドのメリットはコストだけではなくビジネス貢献が焦点に

 2021年はクラウドモデルにデータアーキテクチャのガバナンスが含まれ始め、アナリティクスやAI(人工知能)の全社的な導入が加速する見通しだ。これまでのクラウド移行では、第1段階で「サービスとしてのアプリケーション」、第2段階で「インフラのモダナイゼーション」が大きなけん引役となってきた。

 第3段階として、「デジタルトランスフォーメーション」(DX)が本格化しようとしている。それとともに、真のビジネス変革の効果が現れ始めるとGoogleは予想した。日常的なビジネスプロセスへのデータアナリティクスとAIと機械学習(ML)の導入が進み、全ての業界や社会全体に深い影響を与えそうだ。

(2)コンプライアンスは“付け足し”ではなくなる

 クラウドがデータアナリティクスの改善に不可欠である理由の一つは、コンプライアンスやガバナンスへの対応を支える基盤を提供することだ。

 最近では規制強化などを背景に、全世界であらゆる規模の企業がセキュリティやプライバシー、データ主権に関する取り組みに注力しなければならなくなっており、2021年にはそのためのDXプロジェクトも多数に上る見通しだ。

 企業はクラウドへの移行によって、こうした取り組みを進め、データ保護を確保できる。

(3)オープンインフラが主流に

 2021年までに、80%以上の企業がマルチクラウドやハイブリッドIT戦略を採用する見通しだ。クラウドを使用する企業がワークロード配置の選択肢を求めていることが背景にある。これらのことから、オープンインフラとオープンAPIが今後の主流になる。

 こうした中でマルチクラウドとオンプレミスのデータソースが急速に統合されようとしている。適切なツールを使えば、企業は複数のクラウドサービスを組み合わせて活用し、全体が一つのインフラであるかのように、各クラウドからメリットを享受できるようになる。

 さらに、オープン性とクラウドへの大規模なシフトは、より強力なデータ資産とより優れたデータアナリティクスへのシフトにつながる。オープンインフラは、自社のビジネスに最適な、クラウドへの移行パスの選択を可能にするだろう。

(4)AIとMLの活用にデータサイエンスの学位は不要に

 データインフラやツールが充実してきており、これらを利用すれば、社内の全てのチームがデータサイエンスの恩恵を受け、MLモデリングやAIを活用して仕事や意思決定を革新できるようになる。

 さらに、企業はデータの収集、分析とそれに基づく行動を、従来のデータサイエンスモデルの利用企業よりも迅速に進めることが可能になる。これは生産性や、情報に基づく意思決定の向上につながる。また、データサイエンスを担当してきたチームは、より能力に合った業務に集中できるようになる。

(5)ますます多くのエンタープライズデータのリアルタイム処理が必要に

 クラウドに保存されるデータがデータセンターに保存されるデータを上回るペースで増えようとしている。2025年までに世界のデータ量は61%増加し、175ZB(ゼタバイト)に達する見通しだ。

 こうした中で、リアルタイム情報が必要となるユースケースが増加の一途をたどっている。特に、予想外の事象への対応に関わるユースケースが顕著だ。例えばネットワークセキュリティ侵害の特定と停止だ。事象を特定した後、侵害の軽減や停止にかかる時間をなるべく短くしなければならない。昨今のサイバー攻撃動向を考えると、企業では今後、予想外の問題に即座に対応する能力が、これまで以上に必要になるだろう。

 予測分析も、リアルタイムデータが極めて有用なユースケースだ。予測モデルやAI/MLツールにより、企業は現実のシナリオや情報を基に、シミュレーションを実行できる。このシミュレーションにより、物理環境ではテストが困難だったり、高コストだったり、そもそも不可能だった事象についてのデータが得られる。

(6)データレイクの50%以上がマルチクラウドやオンプレミスを包含

 多くの企業がクラウドソリューションに移行しているのは、企業が競争力を維持するには強力なデジタル戦略が必要になることを意味する。

 このことはデータストレージについても当てはまる。企業の間では、柔軟性や多くの選択肢の確保を目指して、マルチクラウドを選択する動きも広がっている。クラウドのデータストレージは、データウェアハウスかデータレイクという形を取る。データウェアハウスは、検索しやすいように主に構造化データを格納する。データレイクは、構造にかかわらず、企業の全てのデータをまとめて格納する。

 だが、データウェアハウスとデータレイクの境界は薄れ始めており、この傾向はさらに進みそうだ。クラウドプロバイダーがさまざまなデータレイクモダナイゼーションソリューションを提供しており、これらによって非構造化データを統合したり、AI/ML機能を使ってデータレイクをより容易に操作し、洞察を引き出したり、コラボレーションに利用したりできるようになっている。

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