MicrosoftはOpenJDKの長期サポート(LTS)ディストリビューション「Microsoft Build of OpenJDK」のプレビュー版を公開した。併せて今後のOpenJDKのロードマップも示した。
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Microsoftは2021年4月6日(米国時間)、「Microsoft Build of OpenJDK」のプレビュー版を公開した。
Microsoft Build of OpenJDKは、OpenJDKに対する同社の長期サポート(Long Term Support:LTS)ディストリビューションであり、オープンソースライセンスの「GPLv2+CPE」(クラスパス例外付きGNU General Public License v2)により無償で公開される。Docker Hubを用いたコンテナイメージの公開も予定している。
Microsoft Build of OpenJDKには、x64サーバとデスクトップ環境向けに、macOSやLinux、Windows対応のJava 11バイナリ(OpenJDK 11.0.10+9ベース)が含まれる。さらにMicrosoftは、Arm版Windows対応のJava 16の早期アクセスバイナリ(OpenJDK 16+36ベース)も公開している。
「Javaは、現在使われている最も重要なプログラミング言語の一つだ。Microsoftのクラウドサービスや開発ツールでJavaを使用する顧客も増えている。顧客や開発者のために、Javaサポートを拡大、深化する取り組みを継続していく」とMicrosoftは述べている。
Microsoft Build of OpenJDKのJava 11バイナリは、OpenJDKのソースコードをベースにしている。「Eclipse Adoptium」プロジェクトで使われているのと同じビルドスクリプトでビルドされ、「Eclipse Adoptium Quality Assurance」スイート(OpenJDKプロジェクトテストを含む)でテストされている。
今回のJava 11バイナリは、Java 11仕様との互換性検証に使われる「Java Technical Compatibility Kit(TCK)for Java 11」に合格している。Microsoft Build of OpenJDKは、Javaのエコシステムで提供されている他のOpenJDKディストリビューションを簡単に置き換えることができるという。
Java 11は2018年9月に提供を開始したJavaの最新LTSリリースだ。Microsoftは少なくとも2024年まで、Java 11をサポートするとしている。
Java 11に続くJavaのLTSリリースとして、Java 17が2021年9月に登場する予定であり、Microsoftは2021年中にOpenJDK 17のバイナリもリリースする計画だ。
Microsoftは社内オペレーションと「Microsoft Azure」サービスでJavaを幅広く利用している。社内オペレーション用に50万以上のJava仮想マシン(JVM)を展開しており、このうち14万以上が既にMicrosoft Build of OpenJDKベースになっている。
Microsoft Build of OpenJDKは2021年中に、Azureのマネージドサービス全体で既定のJava 11ディストリビューションになる予定だ。この移行はスムーズかつ透過的に進み、顧客側で必要となるメンテナンス作業はないという。
Microsoftは過去18カ月に50以上のパッチをOpenJDKプロジェクトに寄贈しており、同プロジェクトへの重要な貢献の一つとして、「Surface Pro X」のようなWindows ArmデバイスでJavaを動作させるためのWindows/AArch64(64bit Armアーキテクチャ)ポートへの貢献を挙げている。この取り組みは、Apple Silicon上のmacOSへのポートを実現する際に重要な役割を果たしたとしている。Microsoftは2020年に、こうした新しいプラットフォームに対応したOpenJDK 16の早期アクセスビルドを公開している。
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