連載
» 2021年04月26日 05時00分 公開

書籍、アプリ、インターネット――両親が私にくれたものGo AbekawaのGo Global!〜Amy Dang編(前)(3/3 ページ)

[取材・文:阿部川久広(Go Abekawa), 構成:鈴木麻紀,@IT]
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データ分析に魅せられて

阿部川 そして、大学に進学されるのですね。

お出かけの日

ダンさん 高校を卒業してからの進路にはとても悩みました。親戚中で私の世代が初めて大学に進むので、誰も経験がないのはもちろん、何のアドバイスもできない状況でした。

 ITを専攻した方がいいのか、サイエンスの道に行くべきか、とても悩みました。大学でサイエンスを学び、卒業後に故郷に戻って先生になるのも一つの未来として思い描いていました。

 そこでまずは、ベトナム国家大学ホーチミン市校の理科工学部に入りました。学部では主に物理学を勉強し、大学院に進んで高エネルギー物理学を学びました。物理学を学ぶためにはたくさんのシミュレーションを行わなければならず、そのためにはコードを書く必要がありました。

 当時ベトナム国家大学にオークランド工科大学からジョン・ローレン教授が招聘(しょうへい)されており、コンピュータサイエンスを教えてくれました。それもあって、オークランド工科大学のITも同時に専攻できるようになりました。

阿部川 ニュージーランドにあるオークランド工科大学のコンピュータサイエンスの授業を、ホーチミン市にあるベトナム国家大学のキャンパスで受講できたわけですね。

ダンさん はい。ですから私はまだニュージーランドには行ったことがありません。コロナが収束したらぜひ行きたいと思っています。

阿部川 なるほど。大学3年生や4年生のときは、具体的にどのようなことを勉強しましたか。

ダンさん 大きく分けると、学生はフィールドリサーチなどを行うチームと、そのデータを分析するチームに分かれており、私はデータの分析を主に行っていました。学問の分野でいえば、核融合や高エネルギー物理学で、主に放射能や放射性同位体(ラジオアイソトープ)などを研究しました。担当教授は、土や樹木の葉などの放射能と放射性物質を測定し、膨大なデータを蓄積し、土壌の改良に役立てていました。私はその解析のためのプログラミングをしました。そのコードは現在でも使われています。

 マスターコースでは、多くの、ある意味畑違いのリサーチグループとも共同研究を行いました。あるフランスの博士とは、炭素粒子を用いて腫瘍を取り除く重粒子線治療のための解析なども行いました。論理的には粒子の壁の大きさに違いがあって通り抜けるはずなのですが、現実的にはなかなかそれが実現できません。Javaでコードを書き、何度もコンピュータシミュレーションを行いました。

阿部川 どのようなソフトウェアを用いて、そのような解析を行ったのですか。

ダンさん フランスとスイスの間にある、欧州原子核研究機構「CERN」の力を借りて解析しましたが、自分たちでもソフトウェアをプログラミングしました。

阿部川 素晴らしい研究をされていましたね。



 親戚が買ってくれた1台のPCをきっかけに、プログラミングにのめり込み、データ分析で頭角を現し、海外との共同研究も行うようになったダンさん。2021年4月27日掲載の後編では、大学卒業後の起業経験や現在の仕事について、そして女性エンジニアを増やすためにどうすればいいと思うのか、などを伺った。

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