数字が好きで人の役に立つ仕事をしたかったコロンビアの女の子は今、ITと医療の真ん中でCOVID-19のワクチン開発支援に取り組んでいる。
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国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回は、米国を拠点とするLenovoのHPC/AIグループで、未来の医療システム構築や新型コロナウイルス(COVID-19)を始めとする感染症の遺伝子解析研究者をサポートするMileidy Giraldo(ミレイディ・ジラルド)博士に登場いただく。
聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。ジラルド博士がITと医療の真ん中で行っているCOVID-19対策とは――。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) ジラルドさんは南米のコロンビアで生まれて、17歳までお過ごしになりましたね。コロンビアでの小中高校時代は、どのようなものだったのでしょうか。
Mileidy Giraldo(ミレイディ・ジラルド、以降ジラルド博士) 私は常に成績が1番でした。ただしそれは、私の頭が良かったということではなく、何にでも、とにかく一所懸命打ち込んでいたからだと思います。恐らく私だけが、先生が「勉強しなさい」と言ったら、たとえ試験がなくともしっかり勉強することを繰り返していたのだと思います。
何かが分かるということは、学ぶことに集中し、それに固執して続けられるかにかかっています。一つできるようになると、次にできることが変わってくる。その感じが好きだったのです。今でもその感覚は変わりません。
私はどんなことに関しても、どうやって学べばいいのかが分かっています。分かることをAとし、そのための出発点をBとすると、BからAに到達する道は必ずあります。才能がなくとも、やり続ければできるようになる。私が最終的にPh.D.(博士号)まで修得できたのは正しく学ぶ方法を学べたから、つまり学ぶことのプロフェッショナルだからです。
阿部川 どのような科目が好きでしたか。子どものころ、なりたかった職業は?
ジラルド博士 数字が好きでした。計算すること、数学、物理学――数字が関係するものが好きで、分析や数や量を測ることが得意でした。数字に引き寄せられたのだと思います。
そして、数字が好きなのと同じくらい、人の役に立つことがしたいとも思っていました。ただ、17歳の女の子に深い知識があるわけではなかったので、大学進学に際しては、単純に「じゃあ、医者になろう」と思い、米国に行く決心をしました。
米国の大学では、生物学と化学で学位を取り、医学部へ進学しました。もちろん数字が得意だったので成績は悪くはなかったのですが、何か煮え切らない、ふに落ちない思いがありました。「もっともっと私の能力が使える場所があるはずだ」と、いつもその機会を狙っていました。
医学部の大学院に進むために履修した調査研究に魅了されました。その後インターンとして働いているときに、偶然生物情報学に出会いました。生物情報学は、そのほんの数年前に学問として形をなした、全く新しい分野でした。
生物情報学を学ぶために、最初にプログラムをしたときのことを今でも鮮明に覚えています。まるで雲で覆われていた空が開けて、青空が眼前に広がったような(笑)。本当にそんな気がしたのです。まさにユーレカモーメント(ひらめきが訪れた瞬間)でした。プログラムしていることが、まさに私が考えていたことそのものだったのです。
情報を理解するために、フローチャートやダイヤグラムのようなものを頭の中に思い描きます。プログラムはそれを幾つかの単位に分割して、相互に結び付けているように感じ、「求めていたものはこれだ!」と思いました。
大学に戻ってからは、全ての時間をプログラミングに集中しました。コンピュータサイエンスを履修し、医学部の大学院に進む代わりに、生物情報学の博士課程に進学しました。
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