作成したシートを他人に使ってもらう場合、何らかの指示がないと、どのように入力してよいのか分からないことがある。また、回覧などでセルにコメントを付けたいこともあるだろう。そのような場合、セルにメモを付けたり、別のセルに説明を入れたりしておくとよい。
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対象:Office 2013/2016/2019/365
「Microsoft Excel(エクセル)」で作成するワークシートの中には、他人に利用してもらうために作成するものがある。このようなワークシートでは、セルに設定する値などを説明しておく必要がある。このような場合、Microsoft Wordなどでマニュアルのような文書を作って説明してもいいが、別々のファイルになっているとマニュアルがなくなってしまうこともある。
しかし、Excelならシート内のセルに説明を付けておき、すぐに使い方が分かるようにすることができる。今回は、シートの使い方の説明を行う3つの方法を解説する。なお、Excel 2016までのコメント機能は、Microsoft 365版Excelでは、「メモ」に名称が変更されているので注意してほしい(詳細は後述)。
本Tech TIPSでは、Microsoft 365版Excelの「メモ」機能を中心に解説を行う(Excel 2016までのユーザーは、「コメント」として読んでいただきたい。機能はほぼ同じ)。
自分で作成したExcelのシートなら、どのセルに何を入れるべきか理解しているので問題はない。だが、他人が作ったシートだとどこに何を入れていいのかは簡単には分からない。他人に利用してもらうためのシートを作る場合、値を設定すべきセルに対して説明を付けておく必要がある。
このような場合、Excelでは大きく3つの方法がある。1つは、セルに対して「メモ(コメント)」を付ける方法だ。もう1つは、「データの入力規則」を使う方法、3つ目は、隣接セルなどに説明文を入れておく方法である。なお、これら3つの方法は、排他ではないため、複数の方法を併用しても構わない。
メモ*1 | データの入力規則 | 隣接セル | |
---|---|---|---|
適用場所 | 該当セル | 該当セル | 該当セルの近隣セル |
適用範囲 | 単独セル | セル範囲 | 単独セル |
表示方法 | 吹き出し | 小ウィンドウ | セル |
表示位置 | 変更可能 | 変更可能 | セル内 |
常時表示 | ○(デフォルトではマウスポインターを乗せたときのみ) | ×(セル選択時のみ) | ○ |
表示サイズ | 可変 | 固定 | 可変 |
説明メッセージ | 固定 | 固定 | 可変 |
メッセージ書式 | フォント、サイズなど | 固定 | セルに適用可能な書式全て |
インジケーター(説明の有無を示す) | ○ | × | × |
表示禁止設定 | あり | なし | なし |
オートフィル | × | ○ | ○ |
単独コピー/貼り付け | [形式を選択して貼り付け]−[コメントとメモ] | [形式を選択して貼り付け]−[入力規則] | 通常の貼り付け |
リボンからの操作 | [校閲]−[メモ]−[新しいメモ] | [データ]−[データの入力規則] | なし |
キーボードショートカット | [Shift]+[F2]キー | [Alt]+[D]、[L]キー | なし |
Excelでセルに説明を付ける方法 *1:Excel 2016までは「コメント」 |
「メモ」は、セルに対して直接説明を付ける方法だ。そのため、ワークシートを編集してセルを移動しても、セルと一緒にメモも移動するので修正する必要がない。一方で、メモは、セル1つ1つに手作業で設定する必要がある。
「データの入力規則」は、セルが選択されたときに説明を表示でき、セルに入れた値の検査やエラーメッセージの表示が行える。コメントと違ってセル範囲に対して適用できる。ただし、「メモ」のようにインジケーター(マーク)が付かないので、別の方法で対象セルに説明が付いていることを示す必要がある。
「隣接セル」に説明を入れる方法は、ユーザーの設定にかかわらず、確実に表示が可能であるため、比較的よく使われる方法だ。しかし、単純にテキストを入れてしまうと、シートの編集でセル位置が動いたときに説明が矛盾してしまう可能性がある。参照するセルが移動しても、何らかの方法で説明が矛盾しないようにしなければならない(方法は後述)。
「メモ」は、対象セルを右クリックして[新しいメモ]を選択する(Excel 2016、までは[コメントの挿入])か、[校閲]タブにある[新しいコメントの挿入](Excel 2016まで)または「[メモ]−[新しいメモ](Microsoft 365版)を使って設定する。 Microsoft 365版Excelでは、Excel 2016までの「コメント」機能を「メモ」という名称に変更し、「コメント」には、共同編集時にユーザー間でメッセージをやりとりする機能を割り当てている。同じ名称で異なる機能が割り当てられているので使い方に注意してほしい。
メモを挿入すると吹き出しが表示されるので、ここに説明などを入れる。メモの吹き出しは、位置やサイズ、文字フォント、サイズなどを自由に変更でき、Excelは最後の状態を記憶する。後述するようにメモが表示されない設定があるため、メモを付けたら[校閲]タブにある[すべてのコメントの表示](Excel 2016まで)/「[メモ]−[すべてのメモを表示](Microsoft 365版)を使って、コメントやメモを表示させたままにしてブックを保存すること。
複数セルを選択しても、メモが挿入されるのは、先頭のアクティブセルのみなので、必要なセル1つ1つに設定する必要がある。フィルハンドルによるオートフィルではメモはコピーされないが、クリップボード経由のコピーではメモも同時にコピーされる。その他には、貼り付け時に右クリックしてメニューで[形式を選択して貼り付け]を選択することで、メモだけをコピーすることも可能だ。
Excelの標準設定では、メモが付いたセルには、右上に赤い三角形の「インジケーター」が表示される。これについては、Tech TIPS「【Excel】気になるセル左上の三角マーク『エラーインジケーター』を表示させなくする」を参考にしてほしい。
メモ(コメント)関連の設定は、[ファイル]タブで[オプション]を選択して開く[Excelのオプション]ダイアログで行える。[Excelのオプション]ダイアログを開き、[詳細設定]−[表示]欄にある「コメントのあるセルに対して表示」で行う。ここに3つの選択肢がある。[コメントとインジケーター両方なし](Excel 2016まで)/[コメント、メモ、インジケーターすべてなし](Microsoft 365版)が選択されていると、インジケーターが表示されず、マウスポインターを乗せたときにも吹き出しが表示されない。
選択肢 | 動作 |
---|---|
コメントとインジケーター両方なし(Excel 2016) コメント、メモ、インジケーターすべててなし(Microsoft 365版) |
インジケーターもメモも全く表示されない |
インジケーターのみ。ただしポイント時にコメントを表示(Excel 2016) インジケーターのみ。ただしポイント時にコメントとメモを表示(Microsoft 365版) |
通常はインジケーターのみを表示。マウスポインターをセルに乗せたときだけメモを表示 |
コメントとインジケーター(Excel 2016) インジケーターとメモ。ただしポイント時にコメントを表示(Microsoft 365版) |
常にインジケーターとメモを表示 |
「コメントのあるセルに対して表示」の選択肢 |
「データの入力規則」機能を使って、セルが選択された際に説明を表示させることも可能だ。
データの入力規則には、「設定(セル値のチェック)」「入力時のメッセージ」「エラーメッセージ(の表示)」「日本語入力(の制御)」の4つの機能があり、それぞれが[データ]タブにある[データツール]−[データの入力規則]を選択して開くダイアログに対応している。
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