Cockroach Labsは公式ブログで、「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」におけるCPU性能の評価結果を解説した。3つのクラウドサービスを通して、シングルコアと16コアで結果が大きく異なる。
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クラウドネイティブな分散SQLデータベース「CockroachDB」を手掛けるCockroach Labsは2021年6月2日(米国時間)、公式ブログで主要クラウドサービスのCPU性能について解説した。処理性能を比較した年次レポートの最新版「2021 Cloud Report」の評価結果に基づく。
「2021 Cloud Report」は2021年1月に発表されており、「Amazon Web Services」(AWS)、「Microsoft Azure」(Azure)、「Google Cloud Platform」(GCP)をベンチマーク対象としている。
Cockroach Labsは、「CoreMark 1.0」ベンチマークテストを用いてAWSとAzure、GCPの数十種類のマシンタイプを対象にCPU性能を評価した。CoreMarkはオープンソースで、クラウドの種類に依存せず、リストのソートや検索など、さまざまな実世界のワークロードを反映したテストを実行できる。Cockroach Labsはシングルコアの場合と16コアの場合のそれぞれで、10回実行し、1秒当たりの平均反復回数をまとめた。
シングルコアCPUベンチマークではAWS、Azure、GCPとも、最高性能を記録したマシンタイプはいずれもIntelのCPUを搭載していた。
各クラウドサービスで最高性能を記録した3つのマシンタイプを比べると、GCPのマシンタイプのスコア(2万8066)がAWS、Azureを10%上回った。Cockroach Labsは結論として、シングルコアCPUベンチマーク結果は、生のスループット性能の効果的な指標になるという。
16コアCPUベンチマークで最高性能を記録したマシンタイプの搭載プロセッサをみると、IntelのCPUを搭載しているものは振るわなかった。
AWSでは「AWS Graviton2」プロセッサ(64bitのArm Neoverse N1コアを使用してAWSによってカスタム構成されたもの)だった。AzureとGCPでは「AMD EYPC」プロセッサが最高性能を示した。
クラウドサービス別では、AWSのマシンタイプのスコア(30万8852)がGCPとAzureをそれぞれ5%、7%上回った。Cockroach Labsは16コアCPUベンチマーク結果について、各マシンタイプのマルチコアスケーリング能力を示していると述べている。
16コアCPUベンチマーク結果は、Intelにとって悪いニュースだ。シングルコア性能は一部のアプリケーションにとって重要だが、複雑なアプリケーション(特に、クラウドベースのアプリケーション)は、マルチコアCPUの恩恵を受けるからだ。アプリケーションの高機能化が進み、リソース要件が増加すると、このことはとりわけ重要な意味を持つ。
AMDとArmプロセッサは低消費電力であることを考え合わせると、大手クラウドベンダーがAMDベースのサービスに多大な投資を行っているのは、驚きではない。
次にAWS、Azure、GCPのそれぞれについて、マシンタイプごとにシングルコアCPUと16コアCPUのベンチマーク結果を紹介する。
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