筑波大学医学医療系の助教を務める道喜将太郎氏は、高い精度で労働者のメンタルヘルスを判定できるAIを開発した。7251人のメンタルヘルスと生活環境に関する客観的データを用いてAIモデルを構築した。
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筑波大学医学医療系の助教を務める道喜将太郎氏は2021年6月25日、高い精度で労働者の精神的苦痛(メンタルヘルス)を判定できるAI(人工知能)を開発した。労働者のうつ病を早期治療するためには、その前段階である「精神的苦痛の状態」を簡便に早期発見する手法が必要だ。AIが高い精度で精神的苦痛を発見できるようになれば、メンタルヘルス改善の一助になる可能性があるという。
道喜氏は、7251人の労働者のメンタルヘルスと生活環境に関するデータを用いてAIモデルを構築した。AIモデルは、57ノードの入力層と、100ノードの隠れ層、2ノードの出力層から成るニューラルネットワーク。教師データには、心理的苦痛の指標「K6」(Kessler Screening Scale for Psychological Distress)のデータを使用した。K6は、うつ病や不安障害などの精神疾患を評価するための指標で、6項目の質問に対してそれぞれ0〜4点で回答し、合計5点以上で心理的苦痛が中等度、13点以上で重度と判断できる。
同氏は「精神状態を調査する場合、被験者が不調だと思われたくないために正直に回答しないことがある。そのため、今回の研究では年齢、性別、就業状況、生活環境、睡眠状況など客観的データのみを使用した」という。客観的データを基にしているため、気分などの主観的な情報がなくても、労働者の心理的苦痛を予測できる。
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