“スクール”では教えてくれない「エンジニア幸福論」その成果物、テンプレートですよね?(1/5 ページ)

複雑怪奇なIT“業界”を解説する本連載。今回は、フリーランス、スクール卒業の未経験エンジニア、エンジニアは休日もコードを書くべきかなど、Webで話題のテーマを、自社開発企業とSIer中の人に討論してもらった。

» 2021年08月30日 05時00分 公開

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 2021年7月21日、IT業界に強い転職メディア「Green(グリーン)」やエンゲージメント解析ツール「Wevox(ウィボックス)」を提供する「アトラエ」が主催するWebセミナー「エンジニアの気になる話題徹底討論!!」が開催された。

 自社開発企業代表としてアトラエのエンジニア篠隈仁志氏、フルスタックエンジニアの青野雄介氏、SIer代表として「情報戦略テクノロジー」(以降、IST)の技術戦略推進部 スペシャリストのT.A氏、同じくIST 技術戦略推進部のU.T氏が登壇した。司会進行は、エンジニア兼、登録者数8.2万人を誇るYouTubeチャンネル「セイト先生のWeb・IT塾」主催の堀口セイト氏(以降、セイト先生)。

 5月に開催した「エンジニアによるエンジニアのキャリアパス徹底討論!」に続く今回は、エンジニアが気になる話題を、テーマに沿って語り合った。

お題一覧

「フリーランスエンジニア」ってどうよ

 最初のテーマは「フリーランス」だ。

 フリーランスエンジニアという道が確立され始め、自由に働けるというスタイルが気になっている方も多いかもしれない。これに対し、ISTのT.A氏は「面倒くさいことが多そう。確定申告とか」ときっぱり。アトラエの青野氏も「なりたいと思いません」と、両者ともあまり気に掛けてはいない様子だ。

 その理由として青野氏は、「フリーランスは確かに時間の融通も利き、イヤな人がいたらプロジェクトも辞められるのがメリットだと思います。その認識が正しいかどうかは分かりませんが、その前提で、フリーランスエンジニアは『これまでの知識を切り売りする』という印象があります。現場にもよりますが、いまある能力を発揮しバリューをすぐ出すことを期待されるため、新しいことへの挑戦がしにくそうに思えます」と述べる。

 アトラエは、フリーランスエンジニアをプロジェクトに採用しているという。社内には、その経験をプロパーエンジニアと同様に発揮してほしいと考える人も多い。「アトラエでは、技術を使ってどう課題を解決するかというところからフリーランスエンジニアに考えてもらっていますが、違うタイプとして『とにかく手足となって言われたことをこなしてくれ』という会社も多くあると思います。価値観によるとは思いますが、その場合はエンジニアの面白さ、魅力が減ってしまうのではないかと個人的には思っています」と篠隈氏は述べる。さらにフリーランスエンジニアは、個々の能力、技術力があってもチームパフォーマンスが悪いという例もまれにあるという。

 「チームで働くことが苦手、コミュニケーションが苦手だからフリーランスになるという方もいらっしゃるかもしれませんが、チームのパフォーマンスを求められないことはまれなので、その理由であれば結局苦労することになるのではないかと思います」(篠隈氏)

 ISTも、篠隈氏と同じ意見だという。

 「いい方はいる。勉強家もいる。しかし最近はアジャイル開発が要求され、チームとしての成果に重きを置いています。個の能力が素晴らしいのはいいが、チームとして、その中で力を発揮する人が歓迎されます」(T.A氏)

 ISTのU.T氏は「私は、フリーランスにはなりたくありません。会社の後ろ盾なしに自分の力だけで働くことはチャレンジングでいいかもしれませんが、それはとてもしんどい。私は、仲間がいなければさみしくて力を発揮できないと思います」と正直な思いを吐露する。

 セイト先生は、フリーランスエンジニアではないものの、自分で営業活動を行っている経験から「確かに難易度は決して低くないかもしれません。仕事をするのにしても、初日からコミットが要求されます。前職のLIGではセルフマネジメントを要求されつつ、好きなことができました。そこでのつながりが、いまの仕事につながっています。ということは、ある程度の期間どこかの企業に属し、取引先との良好な関係があれば、フリーランスとしてもプラスになるのではないでしょうか。関係値が重要で、それがゼロだとフリーランスをチームに入れてもうまくいかないことが多い。長い期間お願いしている方や、その知り合いの方などの関係性があると失敗しにくいものです」と述べた。

seito セイト先生

今回はたまたまフリーランス否定派の意見が集中してしまいました(笑)。

フリーランスのメリットは、実力さえあれば自分で仕事を選び、自分のバリューを最大化できるポジションだということです。例えばある分野に長(た)けていて、それを活用する仕事に集中してコミットしたい、単価も自分で決めたい、という方はフリーランスに向いているといえます。

また家庭の事情で「場所や時間を選びたい」「週3で働きたい」という事情の方も、それがかなう正社員ポジションは少ないでしょうから、フリーランスワークが選択肢に入ってくるでしょう。


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