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» 2021年08月30日 05時00分 公開

“スクール”では教えてくれない「エンジニア幸福論」その成果物、テンプレートですよね?(2/5 ページ)

[堀口セイト, 篠隈仁志, 青野雄介, T.A&U.T, 宮田健,@IT]

自社開発とSIer/SES、どっちが上? どっちがツヨツヨ?

 次のテーマは、自社開発とSIer/SESのどちらが“良い”かというものだ。

 一般的な印象では「自社開発>SIer/SES」と捉えられがちだ。その印象に関して、ISTのU.T氏は「『自社開発の方が良いものを作れる』と思うかもしれませんが、SIer/SESは即戦力を求められます。さまざまな業界に携わり、戦力として求められ、エンジニアがそれを発揮し、お客さまに褒められる――SIer/SESは、そういう承認欲求が満たされる場所です。SIer/SESはいろいろな業界のことが分かり、さまざまな責任者とコミュニケーションを取ることができ、ハブになれるという点が良いと思います」と、SIer/SESの魅力が知られていないことに課題があると述べる。

 自社開発代表としても、単純に先の印象を肯定するわけではない。青野氏は「私は、自社開発の企業に入り、それ以外の働き方をしたことがありません。ただ、働いている社員、関わっている人たちが幸せになるのであれば、自社開発だろうがSIer/SESだろうか関係がない、経営者がどう考えているかが重要だと思います。もし社員を単なる人月としか見ていなければ、どちらだろうとダメでしょう」と述べる。

 「特にネットでは、SIer/SESが批判される様子をよく見ます。しかしそういった存在がなければ、企業のデジタル化は遅れるでしょう。存在価値は間違いなく、あります。カルチャーなど、別の軸で評価する必要があるのではないでしょうか」(青野氏)

 ISTのU.T氏は、「自社開発の方がプロダクトに踏み込める領域が深いのは事実」と指摘する。同じプロダクトを作るのにしても、SESが踏み込める範囲と、プロパーが踏み込める深さが違い、そこに壁があるのではないかという指摘だ。

 「SESにはそんなデメリットがあります。ただ、技術のベースをそのままに、いろいろな現場の『おいしいところ』だけを頂ける、という面もあります。エンジニアとして何を求めるか次第ではないでしょうか。私は、Webフロントとモバイル開発などさまざまなことに携われていて、それが面白いと思うタイプです」(U.T氏)

 では、これからこの業界に入るであろう学生たちには、両者らの魅力をどう伝えるべきだろうか。自社開発の方がいいという意見が多いことから、SIer/SESの魅力を伝える必要があるのではないかとセイト先生は述べる。これに対しISTのT.A氏は、「SIer/SESはいろいろなプロダクトに関われ、技術にも多く触れる、やろうとすればどっぷり技術に漬かれる環境です。その上で、お客さまの価値も考え、それにコミットできる、ビジネススキルの成長ができる場所だと思います。今後のキャリアの融通が利くという点が良いのでは」と述べる。

 ISTのU.T氏もその意見に同意しつつ、「そもそも自社開発がいいという考えの、その根底にあるものが何かを、もう一度考え直してほしい。SIer/SESではそれが本当にできないのか、自社開発にこだわる理由を考えてほしい」と述べる。

seito セイト先生

自社開発企業の魅力はSNSなどで十分発信されているのに対し、SIer/SESは発信がまだまだかもしれません。

クライアントワークなので守秘義務の観点からも発信しづらいなどの事情があるのかもしれませんが、どんな案件や技術を扱っているのかなど、可能な限り発信が増えるとイメージは変わっていくかもしれません。


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